「秋は犬も「衣替え」~老犬の換毛期に気を付けたいこと~」。【老犬ケア】

2026.09.07 (老犬ケア)

秋は犬も「衣替え」~老犬の換毛期に気を付けたいこと~

犬用ブラシ9月に入り、暦の上では秋を迎えます。
犬と暮らしている方にとって、季節の変わり目に増える「抜け毛」はお困りのものではないでしょうか。

犬種によっては春と秋の年2回、「換毛期」と呼ばれる毛の生え変わる時期があります。
秋の換毛期には、夏を過ごしてきた毛が抜け、寒い季節に備えて保温性の高い冬毛へと変わっていきます。

ただし、近年は9月になっても真夏のような暑さが続くことがあります。
特に老犬は体温調節機能が低下していることもあるため、秋だからと安心せず、換毛期のお手入れと暑さ対策の両方を意識することが大切です。

■ 犬の換毛期とは?

犬の被毛には、大きく分けて「オーバーコート」と「アンダーコート」があります。
オーバーコートは比較的硬い毛で、紫外線や水、汚れなどから皮膚を守る役割があります。一方、アンダーコートは柔らかく密集した毛で、主に体温を保つ役割を担っています。

この2種類の被毛を持つ犬を「ダブルコート」と呼びます。
ダブルコートの犬では、一般的に春と秋の年2回、アンダーコートが大きく生え変わります。
春には保温性の高い冬毛が抜け、暑い季節に適した状態へ変化します。そして秋になると再び、寒い冬に備えて保温性の高い被毛へと変わっていきます。

ただし、すべての犬が9月になれば一斉に換毛を始めるわけではありません。
現在は室内で暮らす犬も多く、エアコンなどによって一年を通して室温が安定していると、換毛の時期がずれたり、はっきりした換毛期が見られなかったりする犬もいます。
「9月だから換毛期」と考えるのではなく、愛犬の抜け毛や被毛の状態を見ながらお手入れしてあげましょう。

■ 換毛期がある犬、目立たない犬

換毛期が特に分かりやすいのは、アンダーコートを持つダブルコートの犬です。

代表的なのは、柴犬、秋田犬、ポメラニアン、ウェルシュ・コーギー、シベリアン・ハスキー、ゴールデン・レトリーバー、ラブラドール・レトリーバー、シェットランド・シープドッグなどです。
特に柴犬などでは、換毛期になると驚くほど大量の毛が抜けることがあります。

一方、トイ・プードル、マルチーズ、ヨークシャー・テリアなどのシングルコートとされる犬種では、ダブルコートの犬のような明確な換毛期はありません。
ただし、「換毛期がない=お手入れが必要ない」ということではありません。
シングルコートの犬でも少しずつ毛は生え変わりますし、長毛の犬では毛が絡んで毛玉になりやすいため、年間を通したブラッシングが必要です。
さらには、愛犬に介護が必要な状況になったときに、お世話できる体力があるかどうかも考えておく必要があるでしょう。

また、犬種によるシングルコート・ダブルコートの分類には資料によって違いがあり、同じ犬種でも個体差があります。
愛犬の毛質に合わせてお手入れすることが大切です。

■ 換毛期はブラッシングを丁寧に

換毛期のお手入れで特に大切なのがブラッシングです。

抜けたアンダーコートが被毛の中に残ってしまうと、毛が絡んだり毛玉になったりして、皮膚の通気性が悪くなることがあります。
毛玉によって皮膚が引っ張られることで、痛みや皮膚トラブルにつながることもあります。換毛期にはいつも以上に被毛の状態を確認し、抜けた毛を取り除いてあげましょう。

ブラッシングは抜け毛を取り除くだけでなく、愛犬の体に触れて健康状態を確認する機会にもなります。
皮膚が赤くなっていないか、できものがないか、フケが増えていないか、触ると嫌がる場所がないかなども一緒に確認してみてください。

特に注意したいのが、「換毛期だから毛が抜けている」と思い込んでしまうことです。

・一部分だけ極端に毛が抜けている
・皮膚に赤みがある
・強くかゆがっている
・湿疹がある
・においが変わった
といった症状が見られる場合には、皮膚疾患や内分泌疾患などが隠れている可能性もあります。
単なる換毛と決めつけず、気になる症状があれば獣医師の診察を受けましょう。

また、抜け毛を取ろうとして強くブラシをかけるのも禁物です。特に老犬では皮膚もデリケートになっていることがあります。
毛玉を無理に引っ張ったり、ブラシを皮膚に強く当てたりせず、愛犬の様子を見ながら少しずつ行いましょう。

■ 老犬の換毛期は「疲れさせない」ことも大切

若いころは長時間のブラッシングやシャンプーを平気で受けていた犬でも、年齢を重ねると同じお手入れが負担になることがあります。

長時間立ったままでいることが難しくなったり、足腰に痛みがあったり、同じ姿勢を続けることを嫌がったりすることもあります。
一度ですべての抜け毛を取ろうとせず、「今日は背中」「次はお腹や足まわり」というように、短時間に分けて行うのも一つの方法です。
伏せた状態や横になった状態など、愛犬が楽な姿勢でブラッシングできるようにしてあげてもよいでしょう。

換毛期のお手入れは毎年行っていることだからこそ、いつもとの違いにも気付きやすいものです。
「今年は抜け方が違う」「ブラッシングを嫌がるようになった」といった変化も、愛犬の体調を知る一つのサインとして見てあげましょう。

■ 抜け毛は人のアレルギーにも注意

換毛期は、犬だけでなく一緒に暮らす人への影響にも注意が必要です。
犬のアレルギーの原因は毛そのものだけではなく、フケや唾液などに含まれるアレルゲンが被毛などに付着し、抜け毛とともに室内へ広がることがあります。

換毛期に大量の毛が抜けると、それらが床やソファ、カーペットなどにたまりやすくなります。
特に家族にアレルギーのある方がいる場合には、愛犬のブラッシングだけでなく、室内をこまめに掃除することも大切です。
掃除機をかけるほか、愛犬が普段使っているベッドや毛布を定期的に洗うなど、抜け毛やフケを室内にため込まないようにしましょう。

愛犬のお手入れと生活環境の掃除をセットで考えることが、換毛期を快適に過ごすポイントです。

■ シャンプーのしすぎに注意

抜け毛はシャンプーで落としやすくすることもできます。
ただし、抜け毛が多いからと頻繁にシャンプーをすればよいわけではありません。
過度なシャンプーによって皮膚を守る皮脂が過剰に失われ、バリア機能が低下し、乾燥やかゆみを引き起こすことがあるほか、老犬の場合はシャンプーそのものが体力的な負担になることもあります。

シャンプーは体調が良い日に行い、室温やお湯の温度に気を付けながら、洗った後は濡れた状態を長く残さないようしっかり乾かしてあげましょう。
体力的に自宅でのシャンプーが難しくなってきた場合には、無理に行わず、トリマーや動物病院などに相談することも選択肢のひとつです。

■ 最近の気温上昇による残暑にも注意が必要

秋の換毛期で、近年特に注意したいのが暑さとの関係です。

秋になると犬は寒い季節に向けて保温性の高い被毛へと変わっていきます。しかし、近年は9月に入っても気温の高い日が続くことが珍しくありません。
暦の上では秋でも、まだ暑さ対策が必要な時期です。

特にダブルコートの犬では、抜けたアンダーコートが被毛の中に残っていると通気性が悪くなることがあります。
不要な毛をブラッシングで取り除き、被毛の状態を整えてあげることが大切です。

老犬では若いころに比べて体温を調節する力が低下していることもあり、さらに注意が必要です。

「もう9月だから大丈夫」とエアコンを止めてしまうと、室温が思った以上に上がってしまうことがあります。
秋の換毛が始まっていても、暑い日はエアコンを利用するなど、カレンダーではなく実際の室温と愛犬の様子を見ながら環境を整えてあげましょう。

被毛には皮膚を紫外線などから守る役割もあります。暑そうだからといって、ダブルコートの被毛を自己判断で極端に短く刈ることにも注意が必要です。
暑さ対策は被毛を極端に短くすることではなく、ブラッシングによる不要な毛の除去と、適切な室温管理を基本に考えましょう。

■ まとめ

犬の換毛期は、季節に合わせて被毛を調整する自然な体の変化です。
特にダブルコートの犬では秋になると夏の被毛から冬の被毛へと変わり、大量の抜け毛が見られることがあります。
この時期は、こまめなブラッシングで不要な毛を取り除きながら、皮膚の状態も確認してあげることが大切です。

皮膚の赤みや強いかゆみ、一部分だけの脱毛などが見られる場合には、「換毛期だから」と決めつけず、獣医師に相談しましょう。

また、抜け毛に付着したフケなどが人のアレルギー症状に影響することもあるため、ブラッシングだけでなく室内のこまめな掃除も意識したいところです。
老犬の場合は、若いころと同じお手入れが負担になることもあります。短時間に分けてブラッシングする、楽な姿勢で行う、皮膚の変化を確認するといった、年齢に合わせたケアを心掛けましょう。

近年は秋になっても暑い日が続きます。
「秋になったから」「冬毛が生えてきたから」と季節だけで判断せず、室温や愛犬の様子を確認しながら暑さ対策を続けることも大切です。

換毛期は抜け毛の掃除が大変な季節でもありますが、愛犬の体にいつも以上に触れる機会でもあります。
毎日のブラッシングを、被毛のお手入れだけでなく、老犬の小さな体調変化に気付く時間として活用してみてはいかがでしょうか。

《獣医師からのアドバイス》
適切なブラッシングは、皮膚の血流を促し、マッサージ効果も期待できます。
皮膚の状態を守り、体調の変化を感じ取るだけでなく、大切なスキンシップの時間として日常に取り入れていただけるとよいですね。

(医療監修:獣医師 先崎直子)

 

換毛期のお手入れだけでなく、老犬になるとブラッシングや爪切り、シャンプーなど、日々のグルーミングにも年齢に合わせた配慮が必要になります。
愛犬の負担を減らしながら、無理なくお手入れを続けるためのポイントも確認してみてください。

► 老犬のグルーミング・介護のノウハウを詳しく見る

 

LINE公式アカウントでは、失敗しない施設選び、介護ノウハウを配信中

► LINE公式アカウント登録はこちらから

関連のあるコラムを見る

最新のコラムを見る

老犬ホームをお探しの方はこちら

介護のノウハウを知る

介護用品を調べる

老犬に関するコラム「秋は犬も「衣替え」~老犬の換毛期に気を付けたいこと~」【老犬ケア】。
老犬・愛犬(大型犬・中型犬・小型犬)に関する情報を発信していきます。
老犬ホーム・老猫ホーム情報・ご入居相談なら、老犬ケア相談デスクまで。
老犬ケア相談デスクでは、電話やメールでのお問い合わせを受け付けております。

老夫婦と犬の画像