2026.10.24 (老犬ケア)
施設訪問記「PETS」
今回訪問したのは、東京都足立区にある「PETS」です。
PETSでは、ペットホテルをはじめ、トリミングなどさまざまなサービスを提供しながら、高齢犬や大型犬、介護が必要な犬たちの預かりにも対応しています。
施設を運営する田口さんがこの仕事を始めたきっかけは、保護犬との出会いでした。
それまではペットとはまったく異なる仕事をしていましたが、飼い続けることが難しくなった犬や猫がいることを知り、保護活動に関心を持つようになったといいます。
「犬や猫と一緒にいながら仕事をするには何ができるだろう」
そんな思いから、それまでの仕事を離れ、動物に関わる道へ進みました。
PETSを始めたのは2019年頃。
当初からペットホテルなどのサービスと保護活動を並行して行っていました。
最初も同じ足立区内で施設を運営していましたが、活動を続けるなかで、想像していた以上に多くの保護犬がいることを知ります。
なかでも大型犬は新しい家族が見つかりにくく、以前の施設では広さや頭数にも限界がありました。
「もっと広い場所が必要だ」
そう考え、現在の場所へ移転、大型犬を含め、さまざまな犬たちを受け入れられる環境を整えていきました。
保護活動を始めた当初は、田口さん自身も知らないことばかりだったそうです。
人との暮らしに慣れていない犬や、人からつらい経験を受けた犬など、それまで思い描いていた犬とは異なる背景を持つ子たちとも数多く出会いました。
一頭一頭と向き合いながら、「この子は何が好きなのか」「何を嫌がるのか」を少しずつ知っていく。
そうした保護犬との経験は、現在お預かりしている犬たちとの接し方にも生かされています。
PETSの大きな特徴の一つが、高齢犬や介護が必要な犬たちにもできる限り向き合っていることです。
なかには、獣医師から残された時間が長くないと告げられた犬を預かることもあります。
仕事などで日中家を空けなければならず、「最期の時にひとりにしたくない」と相談する飼い主さん。
超大型犬が寝たきりになり、家族だけでは介護を続けることが難しくなったケース。
さまざまな事情を抱えた飼い主さんから相談が寄せられています。
そうした犬を預かるうえで大切にしているのが、飼い主さんとのコミュニケーションです。
PETSには24時間人がいるため、体調に変化があれば飼い主さんへこまめに連絡します。
最期が近づいていると感じた時にも、その様子をできる限り伝えながら一緒に見守っていきます。
「その子の最後を見届ける家族が、もう一人、もう二人増えたと思っていただければ」
田口さんが話してくださった言葉が印象的でした。
飼い主さんだけで最期の時間を抱えるのではなく、一緒に心配し、一緒に見送る人がいる。
PETSでは、そんな存在であることも大切にしています。
これまでには、獣医師から残された時間は1〜2か月ほどではないかと言われていた犬を預かったこともありました。
ところが、施設には保護犬や若い犬たちも暮らしています。
周囲から刺激を受けたためか、その犬は少しずつ元気を取り戻し、結果として約2年間を過ごしたそうです。
もちろん、すべての犬が同じ経過をたどるわけではありません。
それでも、当初の想像よりも長い時間を一緒に過ごすことができ、飼い主さんと「嬉しい誤算ですね」と笑いながら涙を流したこともあったといいます。
田口さんにとっても、そうした瞬間は今も強く記憶に残っています
そして取材のなかで繰り返し感じられたのが、「高齢になってから考えるのではなく、元気なうちから準備してほしい」という思いでした。
高齢になり、目や耳が不自由になってから初めて知らない場所へ預けられることは、犬にとって大きな負担になる場合があります。
だからこそ、将来預ける可能性があるのであれば、元気な頃からトリミングなどで施設を利用し、場所やスタッフに少しずつ慣れておく。
実際にPETSには、将来を考えて少し遠い場所から通い、「この子を預けるならここ」と日頃から関係をつくっている飼い主さんもいるそうです。
最後に、高齢犬と暮らす飼い主さんへのメッセージを伺いました。
田口さんが伝えたいのは、愛犬の最期のお世話をお願いできる場所を、高齢になってからではなく、できるだけ早いうちに見つけておいてほしいということです。
いざ介護が必要になってから慌てて探すのではなく、「シニアになったらここに相談できる」と思える場所を見つけ、愛犬が元気なうちから少しずつ関係をつくっておく。
それは飼い主さん自身の安心だけでなく、愛犬が年齢を重ねた時の負担を減らすことにもつながります。
取材を通して感じたのは、PETSが高齢犬になってから初めて頼る場所ではなく、そのずっと前から犬と飼い主さんに寄り添おうとしていることでした。
そしていつか介護や長期のお預かりが必要になった時にも、犬にとって「知らない場所」ではなく「知っている場所」で迎えられるようにする。
元気な頃から最期の時間まで、その子とご家族に長く寄り添っていく
PETSは、愛犬のこれからを考える飼い主さんにとって、早いうちからつながっておきたい場所の一つだと感じました。
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