2026.07.05 (老犬ケア)
犬の熱中症・脱水・やけどに注意 ~夏に増えるトラブルと予防法~
夏になると気を付けたいのが、熱中症・脱水・肉球のやけどです。
近年は猛暑日が続くだけでなく、2026年からは「酷暑日(最高気温40℃以上)」という言葉も使われるようになり、犬たちを取り巻く環境はますます厳しくなっています。
特に老犬は体温調節機能や体力が低下しているため、若いころには問題なかった暑さでも体調を崩してしまうことがあります。
今回は、夏に多い熱中症・脱水・やけどについて、それぞれの症状や対策、予防法をご紹介します。
■ 熱中症
【症状】
熱中症は、体温が異常に上昇し、体が正常に機能しなくなる状態です。
初期には、ハァハァと荒い呼吸を繰り返したり、よだれが増えたり、落ち着きがなくなったりといった変化が見られます。体に触れるといつもより熱く感じることもあります。
さらに症状が進行すると、嘔吐や下痢、ふらつきが見られるようになり、ぐったりして動けなくなることもあります。
重症化するとけいれんや意識障害を起こし、命に関わる危険な状態になるため注意が必要です。
特に老犬は体温調節機能が低下しているため、若いころよりも熱中症のリスクが高くなります。
また、パグやフレンチブルドッグなどの短頭種、肥満傾向の犬、心臓病や呼吸器疾患のある犬も注意が必要です。
【対策】
熱中症が疑われる場合は、まず涼しい場所へ移動させましょう。
水を飲める状態であれば少しずつ飲ませ、濡らしたタオルで体を拭く、あるいは太い血管が通る首元や脇の下、股の付け根をタオルで巻いたなどで巻いた保冷剤で冷やす。エアコンや扇風機を利用して体温を下げることも大切です。
ただし、氷水などで急激に冷やしすぎるのは避けましょう。
応急処置によって症状が落ち着いたように見えても、体の内部ではダメージが進行していることがあります。熱中症が疑われる場合は早めに動物病院を受診してください。
【予防】
「エアコンをつけているから安心」と思われがちですが、実際にはエアコンを使用していても熱中症になるケースがあります。
大切なのは設定温度ではなく、愛犬が過ごしている場所の実際の室温と湿度を管理することです。
犬種や健康状態によって異なりますが、一般的に犬が快適に過ごしやすい室温は22〜26℃程度、湿度は40〜60%程度が目安とされています。
また、犬は人よりも床に近い場所で生活しています。飼い主が快適に感じていても、床付近は暑くなっていることがあるため注意が必要です。
人感センサー付きのエアコンは、人感センサー機能をオンにしていると、ペットを感知できず、自動で運転を抑制してしまう場合があります。
その結果、室温が十分に下がらないことがあるため、留守番中は人感センサー機能をオフにしておきましょう。
また、近年は自然災害による停電が発生する機会も増えています。
外出先からスマートフォンで室温を確認したり、エアコンのオン・オフを操作したりできるスマートエアコンを導入しておくと、停電から復旧した際にも外出先からエアコンの運転を再開できるため、安心につながるでしょう。
真夏の日中の散歩を避け、早朝や日没後の比較的涼しい時間帯を選ぶことも重要です。十分な飲み水を用意し、車移動の際は車内に残さないことも忘れてはいけません。
■ 脱水
【症状】
脱水とは、体内の水分が不足している状態です。
暑い時期は汗をかかない犬でも呼吸や排尿を通じて水分を失うため、知らないうちに脱水が進行することがあります。
初期には、水を飲む量が増えたり、鼻や歯ぐきが乾いていたり、なんとなく元気がない様子が見られることがあります。
さらに進行すると、食欲が低下したり、皮膚の弾力が失われたり、目がくぼんで見えたりすることがあります。重症化するとふらつきや意識障害を起こすこともあり、命に関わるケースもあります。
特に老犬では、足腰の衰えによって水飲み場へ行く回数が減ったり、腎臓病などの持病が影響したりすることもあり、若い犬以上に注意が必要です。
【対策】
脱水が疑われる場合は、まず水分補給を行いましょう。
ただし、一度に大量の水を飲ませるのではなく、少量ずつ飲ませることが大切です。
また、水を飲みたがらない、嘔吐している、ぐったりしているといった場合は、自宅で様子を見るのではなく早めに動物病院を受診しましょう。
脱水は熱中症と同時に起こることも多いため、暑い時期は特に注意深く観察することが大切です。
【予防】
脱水予防で最も大切なのは、いつでも水を飲める環境を整えることです。
老犬の場合は、水飲み場が遠いだけでも飲水量が減ってしまうことがあります。そのため、生活スペースの複数箇所に水を設置しておくと安心です。
また、水はこまめに交換し、常に新鮮な状態を保ちましょう。
食事からの水分補給も有効です。ウェットフードを活用したり、食事に水分を加えたりすることで、自然に摂取できる水分量を増やすことができます。
愛犬の飲水量を日頃から把握しておくと、いざというときに体調の変化にも気づきやすくなります。
■ 肉球のやけど
【症状】
夏場の散歩で意外と見落とされがちなのが肉球のやけどです。
近年は都市化が進み、土の道や空き地が減る一方で、アスファルトやコンクリートに覆われた場所が増えています。そのため、犬が高温になった地面の上を歩く機会も以前より多くなっています。
気温が35℃前後の日には、アスファルトの表面温度が50〜60℃を超えることもあると言われています。
犬は人よりも地面に近い位置を歩くため、高温になった地面の影響を直接受けてしまいます。
やけどをすると、散歩を嫌がるようになったり、足を頻繁になめたりすることがあります。また、肉球が赤くなったり、皮がめくれたりすることもあります。 歩き方がぎこちなくなったり、足をかばうような様子が見られたりする場合も注意が必要です。
【対策】
肉球のやけどが疑われる場合は、まず散歩を中止しましょう。その後、流水でやさしく冷やします。
赤みが強い場合や、水ぶくれができている場合、皮がめくれている場合などは、すみやかに動物病院を受診してください。
たとえ見た目には軽症に見えても、皮膚の深部まで損傷している場合があるため、早めに動物病院を受診することをお勧めします。
また、患部を舐めることで症状が悪化したり、治りが遅くなったりすることがあります。必要に応じてエリザベスカラーを装着するなど、患部を舐めないよう工夫しましょう。
自己判断で人用の薬を塗ることは避け、獣医師の指示を仰ぐようにしましょう。
【予防】
肉球のやけどは予防できるトラブルです。
散歩前には、手のひらでアスファルトに触れて温度を確認する習慣をつけましょう。数秒触れないほど熱い場合は、犬にとっても危険な温度です。
また、散歩は早朝や夜間など比較的涼しい時間帯を選ぶことが大切です。
できればアスファルトだけでなく、芝生や土のある公園、木陰の多いコースなどを選ぶと、肉球への負担を軽減できます。
肉球保護クリームや犬用シューズを活用するのも一つの方法です。
■ まとめ
夏は熱中症、脱水、肉球のやけどなど、犬にとって危険なトラブルが増える季節です。
特に老犬は体温調節機能や体力が低下しているため、若いころと同じ感覚で過ごしていると体調を崩してしまうことがあります。
「まだ大丈夫だろう」と考えるのではなく、室温や湿度の管理やこまめな水分補給を心掛け、散歩時間や散歩コースを見直してみましょう。
また、日頃から愛犬の様子をよく観察し、小さな変化にも気づいてあげることが重要です。
暑い季節だからこそ無理をさせず、愛犬が快適に過ごせる環境を整えながら、安全に夏を乗り切りましょう。
暑い夏へと向かう梅雨の時期は、天候が不安定で、老犬が体調を崩しやすい季節でもあります。
無理をさせず、少しでも体調の変化が見られたら早めに動物病院を受診するなど、この時期から体調をしっかり整え、これから迎える厳しい夏に備えておけると安心ですね。
(医療監修:獣医師 先崎直子)
熱中症や脱水、肉球のやけどは、一度起こると愛犬の体に大きな負担を与えてしまいます。
だからこそ大切なのは、症状が出てから対応するのではなく、日頃から予防を心掛けることです。
近年の夏は、人だけでなく犬にとっても過酷な環境になっています。
クールマットや冷却ベスト、保冷グッズ、暑い時期の散歩をサポートするアイテムなどを上手に活用することで、愛犬の負担を軽減できる場合があります。
愛犬の年齢や体調に合わせて、無理のない暑さ対策を取り入れてみてはいかがでしょうか。
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