2026.08.31 (老犬ケア)
高齢者が愛犬を迎え入れるということ ~安心して共に暮らすために考えておきたいこと~
近年、愛犬との暮らしを希望される高齢の方が増えています。
一方で、「高齢者が犬を飼うこと」については、さまざまな意見があるのも事実です。
動物愛護管理法では、ペットは「終生飼養」、つまり最期まで責任を持って飼育することが求められています。
また、犬の寿命も延びており、15年、20年と共に過ごすことが当たり前の時代になりました。散歩や日々のお世話を継続できるかどうかも含め、「迎え入れる責任」は決して軽いものではありません。
そのため、高齢になってから安易に愛犬を迎え入れることには、慎重な判断が必要です。
■ それでも、愛犬との暮らしがもたらすもの
愛犬との暮らしは、高齢者にとって大きな支えになるケースが多くあります。
日々の散歩やふれあいは生活にリズムを生み、孤独感の軽減や心身の健康維持につながるともいわれています。
また、犬を飼うことで、健康寿命の延伸につながる可能性を示す研究もあり、愛犬の存在が生きがいになる方は少なくありません。
だからこそ、必要以上に不安になり、愛犬を迎え入れること自体を諦めてしまうのは、少しもったいないとも言えるかもしれません。
■ 迎え入れる前に考えておきたいこと
大切なのは、「迎え入れるかどうか」ではなく、どうすれば無理なく暮らしていけるかを考えることです。
【体力面から考える】
まず大切なのは、日々のお世話が無理なく続けられるかどうかです。
散歩の頻度や距離、リードを引く力、日常のケアなど、現在の体力だけでなく、将来の体力の変化も見据えて考える必要があります。
犬種によって運動量や性格は大きく異なるため、穏やかで運動量が少ない犬種を選ぶこともひとつの方法です。
また、必ずしも子犬から迎え入れる必要はありません。すでに落ち着いていて、運動量も安定している成犬や高齢犬を迎えるという選択もあります。
さらには、愛犬に介護が必要な状況になったときに、お世話できる体力があるかどうかも考えておく必要があるでしょう。
【経済面から考える】
愛犬との暮らしには、継続的な費用がかかります。
・フード代
・医療費(ワクチン、健康診断、病気やケガの治療費)
・日用品
特に愛犬が高齢になると、通院や治療の機会が増え、医療費の負担は大きくなる傾向があります。
また、自身の体調不良や外出が難しい場合には、ペットホテルや老犬ホームといったサービスの利用が必要になることもあります。
将来も含めて、無理なく続けられるかを考えておくことが大切です。
【万が一のときの備え】
見落とされがちですが、とても重要なのが「自分に何かあったとき」の備えです。
・入院や体調不良の際に預けられる先があるか
・日常的にサポートしてくれる家族や知人がいるか
実際に、私たち老犬ケア相談デスクにも、愛犬を迎え入れようとする高齢の方から、
「自分に万が一のことがあった際の受け入れ先」
として、老犬ホームに関するお問い合わせが寄せられます。
万が一自分が先に旅立った場合、残された愛犬がその後も安心して暮らしていける環境を準備しておくと安心です。
将来に備えるための費用面では、ペット信託の利用などを検討してみるのも良いでしょう。
■ 大切なのは「無理のない選択」
私たち老犬ケアでは、無責任に、あるいは安易に愛犬を迎え入れることには賛成できません。しかし一方で、必要以上に慎重になり、愛犬との暮らしを諦めてしまうことも、とても残念に感じています。
大切なのは、その方の状況に合った形で、無理のない選択をすることです。
愛犬との時間は、日々の暮らしに温かさや彩りを与えてくれます。
これから迎えるその一頭と、安心して穏やかな時間を重ねていくために、今の自分にとって、そしてこれからの自分にとって、無理のない形で迎え入れられるかどうか、ゆっくり考えることが大切です。
(医療監修:獣医師 先崎直子)
老犬ホームは、万が一のときの受け入れ先としてだけでなく、短期間の預かりや日中利用など、状況に応じて活用できるサービスです。
あらかじめ知っておくことで、いざというときにも落ち着いて選択することができます。
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