施設訪問記 ドッグハウスダディー西軽井沢 散骨施設「風昇る郷」
2023.01.07
長野県北佐久郡の老犬ホーム「ドッグハウスダディー西軽井沢」にて、新たに始められたペット散骨サービスと自然葬についてお話を伺いました。
代表の小嶋さんが軽井沢の地でペットホテルを開業し、老犬のお預かりを始めたのは2008年。そこから2012年に西軽井沢に移転し、施設を少しずつ拡張しながらホテル・老犬ホームの運営を続けてきました。
施設で最期を迎えた犬は、基本的には飼い主さんへ遺体をお返しすることになっていますが、中には事情があって引き取りに来られない場合もあり、そういった場合は施設内に作った納骨スペースにおさめていました。
安置する遺骨の数がだんだんと増えてきたため、小嶋さんは既存のペット霊園などについて調べてみたそうです。
色々と調べていくうちに、きちんとお墓を建てて土の中に弔うというよりも、太陽の日の下に散骨して自然に還す方が良いのではないかと思うようになり、そこから土地探しが始まりました。
そうして今から2年ほど前に巡りあったのが、雄大な浅間山を望む現在の場所。背丈の高さにもなる雑草が生い茂り、長らく人の手が入っていない場所でしたが、小嶋さんが少しずつ整地や草刈りを行い、クローバーやアジサイなどを植えて整備してきました。
火葬後の遺骨はパウダー状にしてから散骨します。「地面にお骨を撒いて、それが土になって浅間山の方に飛んで行くようなイメージで」というのがここでの自然葬の考え方。眺めの良いこの場所ならではの方法です。
利用された飼い主さんの中には、愛犬が大自然の中に還っていくのを肌で感じることで、ペットロスで塞ぎ込みがちだった気持ちが晴れるという方もいるようです。
一般の霊園にあるような埋葬後の管理費というものは発生せず、通常は小嶋さんが草刈りなどの手入れを行う他に、老犬ホームでお預かりしている子のドッグランとして利用されています。
認知症を患って、室内では同じ場所をぐるぐる回っていた老犬が、自然の中では突然元気に走りだすようになったという例もあったのだとか。
自然の風や草の匂いなどで犬の脳も活性化されるのではないかと小嶋さんは考えています。
老犬ホームで最期を迎えた犬たちが一緒に過ごした仲間たちと同じ場所で自然に還り、死後もみんなで居てくれれば安心だという小嶋さん。将来ご自身が亡くなった後は同じくここに遺骨を撒いてほしいと周囲に伝えているそうで、「犬たちのために整備しながら、自分のお墓の整備にもなってます」と笑いながら語ってくれました。
亡くなった後も長年お世話してきた子たちに囲まれて過ごせるというのはとても素敵ですね。
近頃はペットも家族の一員として一緒のお墓に入ったり、専用のお墓を建てたりすることができるようになりましたが、亡くなったペットの遺骨の管理や埋葬に悩むという話は少なくないようです。
愛犬が生前楽しく駆け回った自然に還すという方法も、将来を考える選択肢として魅力的な一つですね。
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