「施設訪問記 博多犬猫医療センター」。【老犬ケア】

2026.03.25 (老犬ケア)

施設訪問記 博多犬猫医療センター

博多犬猫医療センター_山口センター長福岡県にある博多犬猫医療センターは、地域の犬や猫の健康を支えてきた動物病院です。

山口先生は幼いころから動物と関わる機会の多い環境で育ちました。
ご両親は教員で共働きだったため、家庭で常に動物を飼うことは難しかったそうですが、その代わりに盲導犬候補の子犬を育てるパピーウォーカーや、里親が見つかるまで保護犬を預かる活動などを家族とともに行ってきました。

そうした経験のなかで動物病院に通う機会も自然と増え、獣医師という仕事を意識するようになったといいます。

「中学生の頃には、将来は獣医師になりたいと思うようになっていました」

獣医学部に進学した後は、将来の開業を見据えながら複数の動物病院で経験を積みました。東京や愛知、熊本などさまざまな地域の病院で働き、診療技術を磨きながら現場を学んできたといいます。

大学に入学した時から、将来は地元に戻って動物病院を開業したいという思いは変わりませんでした。

そうして福岡に戻り、博多犬猫医療センターを開業します。
開業当時を振り返ると、経営や資金のことについては分からないことも多かったと山口先生は話します。

「開業については正直、分からないことも多かったですね。ただ、これまで現場で積み重ねてきた診療の経験については、自分なりにしっかり向き合ってきたという感覚はありました」
修行時代は、大規模な動物病院で高度な医療設備に囲まれた環境に身を置いていました。
そうした経験があったからこそ、自分の動物病院でもできるだけ充実した医療設備を整えたいという思いがあったそうです。
しかし、実際に設備を導入していくと、その費用の大きさを実感することになりました。
それでも開業後は地域の飼い主の方々が少しずつ来院し、病院は徐々に軌道に乗っていきます。現在では多くの患者が訪れる動物病院として地域に根付いています。

博多犬猫医療センター_診察風景

山口先生が大切にしているのは「当たり前のことを当たり前に続けること」です。

地域の方に挨拶をすること、病院の周囲をきれいに保つこと、近隣に迷惑をかけないこと。
そうした日々の小さな積み重ねを大切にしています。
動物病院は、地域のなかでは必ずしも歓迎される存在とは限りません。
動物が苦手な方もいれば、においや騒音などを心配される方もいます。
だからこそ、地域の一員として丁寧に関わる姿勢を大切にしているといいます。

「特別なことではないのですが、そういうことを続けていると、地域の方が見てくれているんです。せめて“迷惑をかける存在ではない”と思っていただけるようにしていきたいですね」

博多犬猫医療センターでは往診や送迎にも対応しています。

高齢の飼い主や、寝たきりの犬、通院が難しい猫など、来院が難しいケースは少なくありません。修行時代の病院で往診が当たり前に行われていたこともあり、開業当初から自然に取り入れてきました。
もちろん、往診でできる医療には限界があります。そのため、治療の内容や可能な範囲をきちんと説明したうえで対応しているといいます。
「私がやりたいのは“治す治療”です。できないことを無理にするのではなく、できることとできないことをきちんとお伝えすることが大事だと思っています」

実際に山口先生のもとには、老犬の介護に関する相談の電話が寄せられることも少なくありません。

「どうしたらいいのか分からない」「もう限界かもしれない」といった切羽詰まった声もあるといいます。介護が長く続くと、飼い主自身が疲れ切ってしまうことも珍しくありません。
そうした相談に対して山口先生が大切にしているのは、「動物と飼い主の両方が幸せであること」です。
「人の介護でも同じですが、飼い主さんが本当にしんどい状態になってしまうと、それは動物にも伝わると思うんです。だからまずは一人で抱え込まず、誰かに相談してほしいですね」
動物病院、老犬ホーム、家族、周囲の人たち。相談先は一つである必要はありません。
大切なのは、いま何が一番つらいのか、どこまでできるのかを整理しながら、無理のない形を探していくことだと山口先生は話します。

博多犬猫医療センター_施設内観

印象的だったのは、ある大型犬のエピソードでした。

体重は約70kg。別の動物病院では治療が難しいと判断され、安楽死を勧められていた犬だったといいます。
紹介を受けて博多犬猫医療センターに来院し、手術や抗がん剤治療を行いながら、半年ほどの時間を過ごしました。
その後、病状が進み、いよいよ最期の時が近づいたときのことです。
飼い主の方は「自宅で看取りたい」と希望されました。山口先生は夜、往診で自宅を訪れ、その犬の最期に立ち会ったそうです。
「まさか先生が来てくれるとは思わなかった、と言われました。でも、自分が関わった患者さんですから、最後まで責任を持ちたいと思っています」

こうした姿勢は、高齢犬の介護や老犬医療にもつながっています。

取材のなかで山口先生が繰り返していたのは、「動物と飼い主の両方が幸せであることが大切」という言葉でした。

老犬介護では、飼い主が大きな負担を抱えることも少なくありません。眠れない夜が続いたり、どうしていいか分からず一人で悩んでしまう方も多いといいます。
「まずは一人で抱え込まず、誰かに相談してほしいですね」
相談先は動物病院でも、老犬ホームでも構いません。大切なのは、今どこが限界なのか、どこまでできるのかを整理しながら専門家と話すことだと山口先生は話します。
そのうえで、飼い主自身が笑顔でいられる方法を見つけること。それが結果として、犬や猫にとっても良い時間につながると考えています。

博多犬猫医療センター_スタッフ

シニア犬・シニア猫と暮らすうえで大切なポイントとして挙げていたのが体重の変化です。
日々一緒に過ごしていると気づきにくいものですが、体重の減少は体調変化のサインになることもあります。
「抱っこして体重計に乗るだけでもいいので、定期的に体重を確認してほしいですね」

半年に一度程度の健康診断も大切だといいます。犬や猫は人間よりも早いスピードで年を重ねるため、元気に見えても体の変化が進んでいることがあるからです。

博多犬猫医療センターは、犬や猫の治療だけでなく、飼い主が安心して相談できる場所でもありました。

動物と暮らすことには責任が伴います。それでも山口先生は、ペットと暮らす時間は人の心を支える大切な存在だと考えています。

だからこそ、無理をするのではなく、支え合いながら続けていける環境をつくること。その考え方が、この動物病院の診療の根底に流れているように感じられました。

 

 


高齢犬・高齢猫との暮らしでは、通院が難しくなったり、介護の負担が大きくなったりすることもあります。
そうしたときの選択肢として、動物病院と連携しながらケアを行う老犬ホームという存在もあります。
あらかじめ知っておくことで、いざというときにも落ち着いて判断することができます。


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