2026.09.24 (老犬ケア)
犬にも認知症があるのを知っていますか ~老犬と向き合うために知っておきたいこと~
9月21日は「認知症の日」、そして9月は「認知症月間」とされています。
これは、認知症への理解を深め、支え合う社会を目指すために、厚生労働省などを中心に制定されたものです。
人における認知症は広く知られるようになりましたが、実は犬にも認知症があることをご存じでしょうか。
年齢を重ねた愛犬に見られる変化の中には、単なる老化ではなく、認知症が関係しているケースもあります。
今回は、犬の認知症の症状や原因、そして向き合い方についてご紹介します。
■ 犬の認知症で見られる主な症状
犬の認知症は「認知機能不全症候群(CDS)」とも呼ばれ、加齢とともに発症リスクが高まります。
代表的な症状としては、以下のようなものがあります。
・夜鳴き(夜間に落ち着かず鳴き続ける)
・徘徊(同じ場所をぐるぐる歩き続ける)
・昼夜逆転(夜に活動し、昼に寝る)
・トイレの失敗が増える
・名前を呼んでも反応が鈍くなる
・壁や家具の隙間に入り込んで動けなくなる
ただし、このような変化は認知症以外でも現われるケースも多くあるので、まずは獣医師の診断を仰ぐことが大切です。
また、こうした変化は少しずつ現れることが多いため、見過ごされがちですが、普段から愛犬の行動をよく観察し、変化を感じたら早めに獣医師の診断を受けましょう。
■ 認知症の原因として考えられていること
犬の認知症の明確な原因は完全には解明されていませんが、医学的には以下のような要因が関係していると考えられています。
・加齢による脳の神経細胞の減少
・脳内でのβアミロイドの蓄積
・脳の血流低下
・酸化ストレスの蓄積
これらは人の認知症とも共通する部分があり、加齢に伴う脳機能の変化が主な要因とされています。
■ 認知症への向き合い方
認知症は完全に防ぐことや元に戻すことは難しいとされています。
そのため、「症状とうまく付き合う」という視点が大切です。
◎ 夜鳴きへの対応
夜鳴きは、認知症の中でも特に飼い主の負担が大きい症状のひとつです。
鳴くこと自体を完全に止めることは難しいため、生活リズムを整えることが基本になります。
日中に適度な刺激や活動を取り入れ、体内時計を整えることが重要です。
環境面では
・犬用の防音対策
・寝床の見直し
なども有効です。
症状が強い場合には、安定剤などの使用を検討することもあります。また、サプリメントで症状がやわらぐこともあります。
愛犬の生活の質とのバランスを考えながら、必ず獣医師と相談して判断しましょう。
◎ 徘徊への対応
徘徊も認知症ではよく見られる行動で、これを止めることは基本的にできません。
日常生活の中では、以下のような「安全に徘徊できる環境」を整えることが重要になります。
・家具の角にクッションをつける
・転倒防止のマットを敷く
・サークルや仕切りで行動範囲を調整する
また、排泄の失敗も増えるため、掃除しやすい環境づくりも必要です。
一例として、子ども用プールをサークル代わりに活用するケースがあります。
ただし、子ども用プールは噛みついて破損、誤飲するリスクもあるので、愛犬の性格、体力を踏まえ、安全なものを選ぶようにしましょう。
◎ 実際に多いご相談内容
私たち老犬ケア相談デスクにも、認知症に関するご相談は多く寄せられています。
特に多いのが
・夜鳴きによる近隣トラブル
・留守中の徘徊による転倒やケガ
・排泄の失敗による衛生面の負担
といった内容です。
こうした問題が重なり、ご自宅での対応が難しくなり、老犬ホームの利用を検討されるケースも少なくありません。
◎ 飼い主が抱え込まないことが大切
認知症の介護は、人と同じように、支える側の負担が大きくなりやすいものです。
睡眠不足やストレスが続くことで、飼い主自身が精神的に参ってしまうといったことも少なくありません。
そして、飼い主の余裕がなくなることは、愛犬にも伝わってしまいます。
大切なのは、飼い主自身が無理をして抱え込んでしまわないこと。
・家族や周囲のサポート
・老犬ホーム
・動物病院
など、周りの力を借りながら、その子に合った向き合い方を見つけていきましょう。
(医療監修:獣医師 先崎直子)
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