2025.05.31 (老犬ケア)
老犬になると排泄回数が増える? 尿量の変化に潜む問題について解説
愛犬が歳をとり、「尿の回数が増えた、減った」と感じている飼い主さんはいらっしゃるのではないでしょうか?
排泄回数や尿量の変化は加齢によるものも含まれますが、中には病気のサインになっている場合があります。
今回は、犬の年齢によって尿の量や回数は変化するのか、尿の回数が多かったり少なかったりすることで問題はないのか、解説するとともに、おむつが必要なタイミングや選び方についてもご紹介します。
■ 犬の尿の回数の変化について
犬の平均的な尿の量や回数は、個体差や体格差、年齢によって変化します。
老犬の場合、腎臓や泌尿器の機能が少しずつ低下していくため、成犬の頃に比べて尿の回数が増えることがあります。
平均的な回数としては1日あたり5〜6回が目安とされます。愛犬の目安を知っておくことで、健康状態をチェックすることができます。
■ 尿の量も変化する?
尿の量は年齢とともに変化するというよりは、個体による水分の摂取量や活動量、食事の摂取量によって変わってくるといえるでしょう。
しかし、回数の変化以上に量の変化には注意が必要です。多くても少なくても何かしらの問題が疑われる場合があります。
尿の量は体重が1kg当たり25〜40ml以下が目安となっています。体重1kg当たり50ml以上であると多尿、体重1kg当たり7ml以下だと乏尿、体重1kg当たり2ml以下だと無尿となります。
これを体重5kgの犬に当てはめてみると、平均の目安は1日125〜200mlです。250ml以上であると多尿、35ml以下だと乏尿、10ml以下だと無尿ということになります。
しかし、普段の生活では尿の量を計ることは難しいため、愛犬が飲む水の量を計ることをおすすめします。
季節や体調によって水の摂取量は変化しますが、散歩時に与える水分量や、朝用意したボウルの水がどれくらい減っているかなどを見ることで把握することが可能です。
■ 尿の量や回数が少ない場合の懸念点と対策
尿の量や回数が極端に少ない場合には以下の病気が原因の場合もあります。すぐにかかりつけの動物病院で診てもらいましょう。
・尿路結石
・膀胱炎
・慢性腎臓病
・前立腺肥大症(オスの場合)
また、季節や日々の体調によっても少なくなることがあります。その場合はドライフードをぬるま湯でふやかして与えたり、ウエットフードを加える、与える水や飲む場所を変えたりするなど、飲む水の量を増やす工夫をします。
■ 尿の量や回数が目安より多い場合の懸念点と対策
暑くもなく、激しい運動をしたわけでもないのに、やたらと水を飲む場合や、尿の量や回数が多い場合には以下の病気が原因の場合があります。病気の早期発見のためにも、必ず動物病院で診てもらいましょう。
・糖尿病
・クッシング症候群
・尿崩症
・慢性腎臓病
・子宮蓄膿症(メスの場合)
普段から愛犬の様子をチェックして、気になる様子が見られたら早めの受診をおすすめします。
動物病院を受診する際、水を飲む量や尿の回数、尿の色などを詳しく獣医に伝えられるように記録しておきましょう。普段の様子も記録していると変化が現れた時に気づきやすく、獣医にも伝えやすくなります。
尿を持っていくとそれで尿検査ができる場合もあるので、家で採尿できるようでしたらそれを持っていきましょう。
■ おむつが必要になるのはどのタイミング?
愛犬のおむつを検討すべき時期は、「決められた場所以外での排泄が増えたとき」です。
上記のような病気が原因でなくとも、老犬になると、 以下のような原因で今までとは異なる場所で排泄してしまうことがあります。
・膀胱の出口が緩んでしまう
・トイレの場所がわからなくなる
排泄の様子がいつもと違うと感じたら、まずは獣医師に相談するとともに、おむつを検討してみましょう。
■ おむつの選び方
おむつを選ぶ際には以下のポイントに注目してみると良いでしょう。
〇 ずれないサイズ
人間の赤ちゃんおむつと同様に、犬の大きさに合わせて様々なサイズが展開されています。適用サイズは詳細に書かれている場合がほとんどですので、愛犬のサイズを測定してずれにくいサイズを選びましょう。
〇 形状
雄と雌ではおむつの形状が異なります。雄は体の周りを覆うバンド型、雌は人のおむつのようなホールド型が多いです。
ただし、愛犬の排泄方法や好みもあるため、愛犬に合ったものを考えてあげましょう。
〇 素材
素材も人間用と同じように、紙おむつや布おむつがあります。頻度が多いのであれば、紙おむつで清潔に、頻度は少なく経済的にしたいのであれば布おむつを利用するとよいかもしれません。
状況に応じて、人間用のオムツに尾が出る穴をあけて利用したり(ペット用に比べて安価です)、オムツパンツや尿取りパッドを併用するなど、用途や愛犬の様子を見て選択してください。
■ まとめ
老犬になると尿の回数が変化する場合があります。気になる様子がみられたら早めに動物病院を受診することをおすすめします。
おむつをつける場合は、長時間おむつを着用するときの衛生面に気をつけましょう。交換する頻度を多くする、排泄器官周りの毛を切るなどの工夫も必要です。
また、おむつではなくペットシートを敷く方法もあります。愛犬と飼い主がストレスなく、快適に過ごせるような選択をしてみてはいかがでしょうか。
(医療監修:獣医師 先崎直子)
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