2026.09.28 (老犬ケア)
食欲の秋だからこそ見直したい ~老犬の肥満と食事管理~
秋になると、暑さがやわらぎ、愛犬の食欲が戻ってくることがあります。
「最近よく食べるようになった」
「夏より元気にごはんを食べてくれる」
そんな姿を見ると、飼い主さんとしてもうれしくなるものです。
今回は「食欲の秋」をきっかけに、老犬の体重管理の中でも特に気を付けたい肥満について考えてみましょう。
■ 老犬になると体重管理がより大切に
年齢を重ねてくると、人間同様、犬も体質や体の状態が少しずつ変化していきます。
若いころに比べて散歩の時間が短くなったり、寝て過ごす時間が増えたりすることで活動量が減り、基礎代謝量も落ちるため、これまでと同じ食事を続けていても体重が増えやすくなることがあります。
一方で、老犬になると筋肉量が減少したり、消化・吸収する力が低下したりすることで、反対に痩せてくる犬もいます。
「老犬だから太りやすい」と一概に考えるのではなく、その子の体重や体型、筋肉量、活動量などの変化を見ながら食事を調整していくことが大切です。
「昔からこの量を食べているから」
「今までこの食事で問題なかったから」
と考えるのではなく、年齢を重ねた今の愛犬に合った食事内容や量になっているか、定期的に見直してみましょう。
■ 食欲ムラから好物を与えすぎることも
老犬では、食欲が安定しなくなることもあります。
昨日はしっかり食べたのに、今日はあまり食べない。
いつものフードは残すのにおやつなら喜んで食べる。
こうした様子が続くと、飼い主さんも心配になりますね。
「何でもいいから食べてほしい」
「好きなものなら食べてくれるから」
と、好物やおやつを多めに与えてしまうこともあるのではないでしょうか。
もちろん、体調や病気の影響で食欲が低下している場合には、食べてもらうことを優先しなければならないこともあります。
ただ、元気があり、食べるものを選んでいるような場合には、好物ばかりを追加することで摂取カロリーが増えてしまうことがあります。
また、一度「食べなければもっとおいしいものが出てくる」と覚えてしまうと、普段のフードをさらに食べなくなることもあります。
食欲ムラが見られる時は、単に好物を増やすのではなく、食欲低下の原因が体調なのか、食事内容なのか、生活リズムなのかを見ながら対応することが大切です。
■ 肥満は足腰への負担を大きくする
老犬の肥満で特に注意したいのが、足腰への負担です。
筋力が落ちたり、関節に負担がかかりやすくなっているところに体重増加が加わると、立ち上がる、歩く、階段を上るといった日常の動作にも、より大きな負担がかかります。
足腰がつらくなると動く量がさらに減り、運動不足によって体重が増えやすくなるという悪循環につながることもあります。
また、肥満は関節への負担だけでなく、呼吸や心臓への負担を増やしたり、糖尿病などの病気のリスクにも関係するとされています。
「少しぽっちゃりしているくらいなら大丈夫」と考えず、その子に合った適正な体型を維持することが大切です。
■ 体重だけでなく体型も確認しましょう
愛犬が太っているかどうかを判断する時、体重だけを見るのでは十分ではありません。
犬種や体格によって適正体重は異なりますし、同じ体重でも筋肉量によって体型は大きく変わります。
日頃から体に触れ、肋骨の感触や腰まわりのくびれなどを確認しておくと、体型の変化に気付きやすくなります。
上から見た時に腰のくびれがほとんど見えない、横から見た時にお腹の引き締まりがなくなってきた、肋骨が触りにくくなってきたといった変化があれば、体脂肪が増えている可能性があります。
ただし、老犬では筋肉量の低下によって体重が減っていても、体脂肪の割合が増えていることがあります。
日々の体重の変化に加えて、体型や筋肉の付き方も一緒に確認しておきましょう。
自己判断だけでなく、定期健診の際に獣医師へ体重や体型について確認してもらうと安心です。
■ 食事は「量」だけでなく「内容」も見直す
肥満を予防するためには、単純に食事量を減らせばよいというわけではありません。
老犬では、筋肉を維持するための栄養や、持病に合わせた食事管理が必要になることもあります。
急激に食事量を減らすと、必要な栄養まで不足してしまう可能性があるため注意が必要です。
まずは、現在与えているフードの量や内容を確認し、愛犬の体重、体型、活動量、体調に合っているかを見直してみましょう。
おやつや人の食べ物を分けて与える場合も一日の摂取量に含めて考える必要があります。
「おやつだから少しだけ」と思っていても、小型犬にとっては人が思う以上に大きな割合を占めることがあります。
さらに、家族それぞれが別々におやつを与えていると、飼い主さんが把握している以上に食べていたということもあります。
一日に与える量をあらかじめ決め、家族全員で共有しておくと管理しやすくなります。
■ 無理のない運動も大切
肥満予防には食事管理だけでなく、適度に体を動かすことも大切です。
ただし、老犬に若いころと同じ距離を歩かせたり、体重を減らそうとして急に運動量を増やしたりする必要はありません。
短い散歩でも毎日続けることや、体調の良い日に無理のない範囲で歩くことが大切です。
足腰が弱っている犬では、滑りやすい床を避けたり、歩行を補助するハーネスを利用したりしながら、できる範囲で体を動かす機会をつくってあげましょう。
運動量については、年齢や足腰の状態、持病などによって適切な範囲が異なります。
心臓病や呼吸器疾患、関節疾患などがある場合には、獣医師と相談しながら行うことをおすすめします。
■ 急な体重変化にも注意
老犬では「太らせないこと」だけに注意するのではなく、急な体重変化にも気を付ける必要があります。
食事内容を変えていないのに急に太った、あるいはしっかり食べているのに痩せてきたという場合には、病気が隠れている可能性もあります。
また、お腹だけが膨らんできた場合なども、単純な肥満とは限りません。
特に老犬では、体重の増減を「年を取ったから」と見過ごしてしまうことがあります。
定期的に体重を測り、普段の食事量とあわせて記録しておくと、変化にも気付きやすくなります。
体重や体型に急な変化が見られた場合は、「年齢のせい」「食べすぎ」と楽観視せず、動物病院へ相談しましょう。
■ まとめ
食欲が戻る秋は、愛犬が元気に食べてくれることがうれしい季節です。
一方で、年齢を重ねると人間同様、犬も体質や体の状態が変化していきます。
活動量が減って太りやすくなる犬もいれば、筋肉量の減少や消化・吸収する力の低下などによって痩せてくる犬もいます。
消化・吸収する力が低下してきた場合は、1回の食事量を減らし、食事回数を増やすという工夫が必要になるかもしれません。
大切なのは、「老犬だから食事を減らす」「痩せてきたから好物をたくさん与える」と一律に考えるのではなく、今の愛犬の状態に合わせて食事を管理することです。
肥満は足腰への負担を増やし、動きづらくなることでさらに運動量が減るという悪循環につながることがあります。
反対に、食欲や体重の低下が続いている場合にも、加齢だけでなく病気などが影響している可能性があります。
毎日の食事量を把握し、体重だけでなく体型や筋肉の変化にも目を向けながら、その子に合った状態を維持してあげるようにしましょう。
食欲の秋を楽しみながら、この機会に一度、愛犬の体重や体型、毎日の食事内容を見直してみてはいかがでしょうか。
愛犬がおいしそうに食べる姿を見ることは、私たちにとっても大きな喜びです。つぶらな瞳でねだられると、ついフードやおやつをあげたくなるのが飼い主さんの気持ちですよね。
それでも、愛犬が健やかに年を重ね、共に幸せな時間を過ごすためには、食事管理に気を配っていただけると幸いです。
(医療監修:獣医師 先崎直子)
食事量や与え方、食べやすくする工夫など、老犬の状態に合わせた食事介護のポイントもあわせて確認してみてください。
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また、食器や食事台、給餌をサポートするグッズなどを活用することで、毎日の食事を無理なく続けやすくなることもあります。
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