2026.01.17 (老犬ケア)
施設訪問記 KAMALEI(カマレイ)
沼津の空気は、潮の気配と山の気配がほどよく混ざっていて、深呼吸が自然と深くなります。
KAMALEI(カマレイ)に足を踏み入れた瞬間、「ここはペットホテル」という言葉だけでは収まりきらない、と感じました。
室内は、どこか“人の暮らし”の延長線にあるようなつくりです。ケージに入って過ごす時間が前提ではなく、リビングのような空間で犬たちが思い思いにくつろぐ。初めてなのに、なぜか落ち着く——そんな空気が、施設全体に流れていました。
「KAMALEI」という名前に込めたもの
施設名の“KAMALEI”は、ハワイ語で「大切な家族」「最愛の子ども」といった意味合いを持つ言葉。
山梨さんは、ハワイに行ったことがあったわけではないそうですが、「この言葉が素敵だなと思って」と話してくださいました。
その“言葉の温度”は、施設の方針にも重なっていきます。
「お預かりしたワンちゃんを、自分たちの家族のように大切に扱います」
山梨さんの一言は、KAMALEIを理解するうえで、静かだけれど芯になる言葉でした。
そして、その思いは空間にも表れていました。
「家にいるぐらいリラックスして過ごせる場所で預けられたら」
そう考えたとき、従来の形だけでは叶えきれない思いがあり、、今の“家のような空気”を持つ環境へとつながっていったのだといいます。
「老犬を預かれない」現実を、選択肢に変えたかった
取材のなかで印象に残ったのは、「老犬は預からない」という線引きが、世の中に確かに存在していることを、山梨さんが現場の感覚として受け止めていたことでした。
実際、ペットホテルに相談しても断られてしまう——そうした声は、飼い主さん側からもよく聞こえてきます。手がかかること、リスクがあること。現実として、簡単ではない。
それでも踏み込んだのは、山梨さんご自身が、犬と暮らす中で「大変さ」を知っていたから。
そして、その大変さの中で日々愛犬のお世話をしている飼い主さんがいることも、ずっと見えていたからでした。
「飼い主様のひとつの選択肢として、うちがなれればいい」
この言葉には、誰かを救うための誇張ではなく、“日常の支え”として施設がそこにありたい、という実感がこもっていました。
忘れられない「ありがとう」の重さ
老犬の受け入れを始めてから、忘れられない出来事があったと言います。
15歳のプードルの子。1〜2か月単位で預かり、いったん帰って、また預かる——そんな関わりを重ねていた子が、最近、お家で亡くなった。
「うちで遊んでた時、自分で立って、ご飯も一緒に食べてた。まさか…という感じでした」
山梨さんは、そのときの辛さを、言葉を探しながら話してくださいました。
ただ、飼い主さんが来てくださり、泣きながら「ありがたかった」と伝えてくれた。
その表情が忘れられない、と。
老犬を預かる仕事は、ときに“別れ”とも隣り合わせです。
「嬉しい」「辛い」だけでは分けられない感情が、現場には積み重なっていくのだと思います。
365日、離れられない仕事。それでも続けられる理由
「結局ワンちゃん付きっきりなので、自分の休みがない」
山梨さんが語る“大変さ”は、シンプルでした。
でも、その大変さの先にある“嬉しさ”もまた、シンプルです。
お迎えのときに、飼い主さんが心から「ありがとう」と言ってくれる。
疲れ切った表情で預けに来た方が、迎えのときには少し顔がほぐれている。
預けている間に犬が落ち着き、元気になって帰っていくこともある。
「やれてる理由というか……それが一番ですね」
派手な言い方ではない分、言葉がそのまま胸に残りました。
ひとりで抱え込まないで
最後に「老犬の介護で悩む飼い主さんへ、どんなメッセージを届けたいですか」と伺うと、山梨さんは少し考えてから、こう話してくださいました。
「まず一度、誰かに相談してほしい。自分のためでもあるし、ワンちゃんのためでもあるので。ひとりで考え込まないで」
“相談することは、後ろめたいことではない”
その前提が、いま本当に必要な飼い主さんがいるのだと思います。
KAMALEIは、犬を「預かる場所」である前に、飼い主さんの選択肢を増やす場所でもありたい。
その静かな姿勢が、施設の空気の柔らかさにつながっているように感じました。
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