施設訪問記 老犬ホーム あおいそら
2021.02.28
兵庫県神戸市の老犬ホーム「老犬ホーム あおいそら」を訪問し、代表の佐溝さんにお話を伺ってきました。
佐溝さんは16年前から保護犬と里親さんをつなぐ譲渡活動をされていて、2年前に保護犬譲渡をメインに活動するNPO法人を立ち上げました。元々はリサイクルショップを経営し、個人的に行っていた保護活動のことを聞いてやってきた人の相談に乗るといった「知る人ぞ知る」存在でした。
そのうちに、周囲からNPO法人として窓口を広げればもっとたくさんの人を助けてあげられるのではと勧められ、法人設立に至ったそうです。
法人設立にあたり、保護活動でつながった様々な人からの支えをあらためて実感したという佐溝さん。老犬ホームを開設した背景には、これまでお世話になった人たちへの恩返しをしたいという気持ちがあったとのこと。
譲渡した保護犬と里親さんが最後の一番苦しむ時、その一番悲しい時を共に乗り越えられるような存在となるように。犬のことをちゃんと理解しているスタッフがいて、飼い主さんが安心して預けられる施設にしようと開設したのが、この「あおいそら」でした。
「私たちは『きちんと犬を飼って、正しく犬を見送っていく』ということをコンセプトにしています。ここに関してはどこにも負けないくらいの思いがあります」16年前にご自身が里親になったことから始まった保護活動を続けることで様々な経験をされてきた佐溝さんの思いがここに詰まっています。
ペットとして犬を可愛がることはしても、犬が人と暮らし始める前のことまで考える人はごくわずか。しかし、佐溝さんは犬が持つ元々の気質を理解することこそが大切だといいます。
「実は犬も可愛がられるだけじゃなくて、本能の中にある独立心も残してあげないといけないんです。犬の特性を理解して、噛んだり吠えたりして手が付けられないという子も、『大丈夫だよ』と落ち着かせてあげられる知識のあるスタッフに安心して預けられる施設でなくては」と、運営にあたってのこだわりを語ってくださいました。
ホームの方針としては、基本的に終生預かりはせず、飼い主さんには最期のその時まで家族として会いにきてもらっているとのこと。スタッフはそれに寄り添い、いつでも相談ができる存在として飼い主さんの悩みを一緒に乗り越えていきたいといいます。
佐溝さんにとって「法人」や「施設」は一つの手段。行き場を無くしてしまった犬のための施設をきっかけに、最終的には犬のことに関していつでも聞ける相談窓口となることを目指しているとのこと。犬との一生を過ごす中で「保護犬の譲渡」という入り口から、「老犬の看取り」という出口までをサポートしながら、人も犬も幸せに暮らせるよう手助けできる存在でありたいという想いで日々活動されています。
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