「老犬の多頭飼い 幸福な共存のための心得と環境づくり」。【老犬ケア】

2026.01.30 (老犬ケア)

老犬の多頭飼い 幸福な共存のための心得と環境づくり

多頭飼いは、犬たちにとって社会性を育む良い刺激となり、飼い主さんにとってもにぎやかで喜びに満ちた生活をもたらします。
しかし、愛犬の中に老犬がいる場合、若い犬同士の生活とは異なる特別な配慮が必要です。

老犬が穏やかで幸せな晩年を過ごすためにも、多頭飼いの注意点や「老犬ファースト」の配慮を心がけていきましょう。

■ 老犬の心と体の状態を理解する

老犬は、視力や聴力の低下、関節の痛み、認知機能の変化など、加齢によるさまざまな変化を抱えています。そこに活動的な子犬や若い犬が加わると、肉体的・精神的なストレスを感じやすくなります。
一見、新しい刺激を受けて元気に遊んでいるように見えても、その後、疲労やストレスで体調を崩すリスクがあります。

■ 老犬にとっての多頭飼いのメリット

適切に配慮すれば、活動的で元気な若い犬の存在は、老犬の生活にハリと刺激を与え、心身にポジティブな変化をもたらすことがあります。

〇 精神的な刺激と認知機能の維持
若い犬が遊ぶ様子を見たり、一緒に遊んだりすることで、老犬の好奇心や遊び心が刺激され、認知機能の低下を遅らせることが期待できます。

〇 運動と生活意欲の向上
若い犬の活発な行動につられて、老犬が自ら立ち上がったり、短い距離を歩いたりする機会が増えることがあります。無理のない範囲での活動増加は、筋力や関節の柔軟性の維持に繋がります。

〇 食欲の増進
若い犬が元気よく食事をする姿を見て、老犬の食欲が刺激されることがあります。特に食が細くなりがちな老犬にとって、これは健康を維持する上で大きなメリットです。

〇 孤独感の軽減と安心感
常に飼い主さん以外の若い犬がいることで、物音がして安心感につながりやすくなります。また、犬の気配があるだけでも孤独感を軽減出来る可能性があるのです。

■ 新しい犬を迎え入れる前に 「老犬の性格」チェック

多頭飼いが成功するかどうかは、先住犬である老犬の性格にも大きく左右されます。

• おおらかで穏やかな性格
他の犬に対して友好的で、多少のやんちゃを許容できるタイプであれば、新入り犬とも馴染みやすいでしょう。

• 神経質・臆病な性格
環境の変化や、見知らぬ犬の存在に強い警戒心を示す場合は、慎重に検討する必要があります。無理に迎えると、老犬にとってストレス源になりかねません。

• 独占欲が強い性格
飼い主さんや特定の場所、おもちゃなどを独占したがる犬は、新しい犬に対して攻撃的になりやすい傾向があります。
新しい犬を迎える際は、穏やかな性格の犬を選ぶことが理想的です。可能であればトライアル期間などを設けるとよいでしょう。

■ 老犬の日常と空間を守る環境整備

老犬が新しい環境下でも安心して過ごせるよう、「分離」と「優先」を意識して環境づくりを工夫しましょう。

〇 専用スペースの確保
老犬が心身ともに疲れたとき、いつでも逃げ込めるように、ドッグゲートやサークルなどを利用して、新しい犬が侵入できない老犬専用のエリアを設けてください。

〇 静かな休息環境
老犬は一日の大半を睡眠や休息に費やします。ケージは静かで落ち着いた場所に設置し、特に老犬が寝ているときは新入り犬を隔離し、睡眠を絶対に邪魔させないように徹底しましょう。

〇 生活用品の分離
食器、水、トイレも頭数分用意し、老犬の食事は落ち着いてゆっくりと食べられるよう配慮しましょう。特に老犬は療法食や特別なサプリメントを与えている場合があるため、誤食を防ぐためにも食事中の管理は重要です。

■ 「老犬ファースト」の接し方

多頭飼いは、飼い主さんの行動が老犬のストレスレベルを大きく左右します。先住犬優先を意識し、老犬に安心感を与え続けましょう。

〇 先住犬を優先する
撫でる、声をかける、散歩の準備をする、おやつを与えるなど、日常の行動は老犬を先にしましょう。「自分は大切にされている」と感じることで、老犬の心は安定します。

〇 独占時間を確保
老犬だけとの散歩やスキンシップの時間を設けましょう。老犬のペースに合わせた散歩は、老犬の健康維持と精神的な安定につながります。

〇 無理に仲良くさせない
無理に犬同士を近づけたり、遊びを強要したりすることは避けましょう。段階的に距離を縮め、老犬が耳を伏せる、あくびをする、顔を背けるなどのストレスサインを示したらすぐに休ませてください。
お互いのペースを尊重し、無理なく自然な関係が築けるよう見守る姿勢が大切です。

〇 散歩は別々に
体力差が大きいため、散歩はできれば個別に行いましょう。
老犬の散歩は、関節に負担をかけないよう短時間・短距離で、休憩を多めに。必要に応じてペットカートなどを利用して、老犬も外の刺激を受けられるようにするのも良い方法です。

一緒に散歩をする場合は、老犬のペースや体力に配慮した時間設定を心がけましょう。
若い犬には、遊びを通じてエネルギーを発散させたり、別途散歩の時間を設けたりするなど、それぞれに合った工夫が必要です。

■ 多頭飼いには飼い主さんの配慮と計画が必須

老犬を含む多頭飼いの生活は、飼い主さんの配慮と計画があってこそ成り立ちます。

「老犬ファースト」を忘れず、すべての家族が幸せに共存できる環境を築き上げていきましょう。

(医療監修:獣医師 先崎直子

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