施設訪問記 ペット介護ステーションJEWEL
2022.07.13
徳島県徳島市にある老犬ホーム「ペット介護ステーションJEWEL」を訪問し、オーナーの杉井さんにお話を伺ってきました。
杉井さんはこれまで盲導犬の子犬のしつけや老犬の介護の仕事を約20年続けられたあと、令和1年11月1日にJEWELを起業されました。
しかし、起業してすぐに世の中はコロナ禍に。当初は介護をサービスのメインとしていましたが、ステイホームを強いられる情勢の中で予約は伸びず、後々始めようと思っていたしつけもメニューに加えることに。現在は子犬から老犬までトータルにお預かりするペットケア施設として運営されています。
施設内はケージフリー。家のリビングでくつろいでいる時のようにリラックスした状態で過ごしてもらいたいという杉井さんのこだわりです。
お預かりするお部屋は大きな窓があり、外の景色が眺められる開放的な空間で、外からも中の様子を伺うことができ、地域にも開かれたオープンな施設になっています。
建物内には宿直室を作り、24時間スタッフが常駐できるようにしました。介護が必要な子をお預かりするときには、杉井さんが寝袋を持ち込んで、犬たちの横で寝ることもあるそうです。
「私が目指しているのは、人間と同じようなサービスを揃えた介護施設なんです」という杉井さん。デイケアやショートステイといった高齢者施設のサービスをお手本に、家族の一員を預かる施設として運営できるように工夫しています。
お世話の際に杉井さんは「飼い主さんが普段気づかないような“ちょっとしたこと”を発見できるように心掛けている」とのこと。ご飯の食べさせ方や、100均で代用できる介護用品など、ちょっとした工夫でお家でのお世話が楽になるようなことを見つけられるようにしているそうです。
終わりの見えない介護の生活はなかなかに辛いものがあります。そんな中でも飼い主さんが少しでも楽にお世話できるように、また、本当に辛くなった時に施設でのお預かりで家族が休養できるようにという思いで杉井さんは毎日のお世話にのぞんでいます。
JEWELでは「恩送り」というシステムを運用しています。愛犬を見送って介護が終わった飼い主さんから使わなくなった介護用品などを預かって、次に必要な方へお譲りするシステムです。
最近ではサイズを間違えて買ってしまったオムツなどが「必要な方へ差し上げてください」と多く集まってくるとのこと。介護を経験しているみんなで助け合おうという考え方は利用者さんの間にも広く浸透してきています。
今まで元気にしていた愛犬に突然介護が必要になり、昼も夜も油断できないような日々が続くと、大変な思いでいっぱいになり、楽しかったときのことは忘れがちになってしまいます。
「せっかく楽しい思い出もたくさんあるのに、それではお互いに不幸ですよね」と、杉井さん。介護は誰でも一度は行き詰まってしまうことがあるものです。そんな飼い主さんの悩みを何でも受け入れられるような、頼れる存在であり続けたいと語ってくださいました。
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