2025.07.02
施設訪問記 保護猫カフェ&老犬老猫ホーム Kaipooh
福岡県福岡市にある、保護猫カフェ併設の老犬老猫ホーム「Kaipooh(カイプー)」を訪問し、オーナーの的場さんにお話を伺ってきました。
Kaipoohがあるのは福岡市地下鉄「次郎丸駅」を出てすぐ。交通にとても便利な場所にあります。
メインは保護猫カフェとして営業し、同時に老犬や老猫も支援できるようにお預かり設備を整えました。
元々犬や猫が好きで、動物の専門学校にも通っていたという的場さん。あるとき保護猫カフェで働いたことがきっかけで、自分でもやりたいと一念発起し、今から1年前に施設をオープンさせました。
保護猫カフェを運営するには、どうしても「ボランティアが当然」という側面があり、そこで働くスタッフの雇用条件はおざなりになってしまいがちです。その皺寄せが猫たちにいってしまうこともあり、そのような実情を見た的場さんは、きちんと収益も上げられて、みんなが笑顔になれる場所を作りたいと考えたそうです。
Kaipoohが他の保護猫カフェと違うのは猫たちの「推し活」ができる点です。
グッズを作ったり、ガチャガチャができたり、お客さんが楽しく「推し猫」を応援できるような仕組みを取り入れています。
保護猫や老犬・老猫の活動というと、“かわいそうな動物を寄付で支援しよう”という雰囲気が出やすくなってしまいがちですが、SNSなどで可愛く面白く発信して「楽しく関わることで、結果として支援にもつながる」そんな循環を目指しているそうです。
的場さんも子育て中の母親として、家事や育児もある中で、動物の命を預かる仕事と家庭との両立はとても難しいものです。少しでも家族との時間を多くとれるようにと、Kaipoohはご自宅の隣に建つアパートの一室に作りました。
建物は的場さんのお母様が大家さんということもあり、アパートの一室でも犬や猫に対応した施設になるようにしっかりと手を入れました。
敷物がなくても快適に過ごせるように床暖房を入れたり、大型犬にも対応できるようにお風呂場までの床をフラットにしたり、老犬の夜鳴き対策のための二重窓も設置しました。
「昔家で飼っていた犬も夜鳴きがひどかったんです。そのときは子どもだったので知識もなくて、“コラ!”って怒ってしまったり……。あとで他の家の犬も同じなのを見て『高齢になったらこうなるんだ』と気づきました」と、的場さん。
お知り合いの中には、夜鳴きが近所迷惑だからとマンションで飼うことができなくなり、郊外に預けられてしまったケースもあったとのこと。それならば福岡市内のすぐに会いに来れる場所で預かれる施設があったら良いのではと思ったのも施設開設のきっかけのひとつだそうです。
まだオープンから1年とのことで、これまでは保護猫カフェ中心の発信でしたが、これからは老犬・老猫ホームの面でも周知活動に力を入れていきたいと語ってくださいました。
的場さんにとって大きな経験になったのが、愛猫カイちゃんとのお別れです。
「ちょうど当時の仕事が融通のきく職場だったので、最後の3日間、ずっと一緒に過ごせたことが、今でも心の支えです」
だからこそ、飼い主さんにも「悔いのない見送り方」をしてもらえるよう、相談にも寄り添いたいと話します。
「私は最期の時にどう関われたかで、その後のペットロスになるかならないかが決まると思っているんです」
ご自身の経験も含めて、日々介護を頑張る飼い主さんたちの相談にのったり、話を聞くことで少しでもリフレッシュしてもらえるよう心がけているそうです。
「特に高齢の飼い主さんが体力的な問題で飼えなくなるケースが増えています。そんな時に手放してしまうのではなく、こういった施設に預けて、たまに面会にきて、最期まで一緒に過ごせる選択肢があってもいい」
そんな思いから、ショートステイや日帰り預かり、夜間だけのお預かりなど、柔軟なプランを用意しているとのこと。
「お買い物や冠婚葬祭の間だけでも、気軽に利用して欲しいんです。預けることを後ろめたく思わずに、リフレッシュの時間をとっていいんですよ」と、やさしく語ってくださいました。
保護猫カフェとしては1年を経て、徐々に地域にも知られるようになってきたKaipooh。
最初から猫カフェだけでなく、老犬・老猫ホームも一緒に開設した背景には、「猫たちを譲渡するという場所を作るならば、新しい飼い主さんたちに、老犬や老猫を手放さないで面倒を見る道がありますよということを知っておいて欲しい」という的場さんの想いがあります。
かわいそうな動物たちが預けられる場所ではなく、楽しさや優しさで支えられたあたたかい保護施設という新しいスタイルをとったKaipoohは、関わる人が笑顔で命に向きあい、支え合う「みんなの居場所」でした。
保護猫カフェ&老犬老猫ホーム Kaipoohの詳細はこちら
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