2025.06.30 (老犬ケア)
老犬に合った食事とは?年齢と体調に応じた摂取量と栄養管理
犬も人間と同じように、年齢を重ねるにつれて体の機能が徐々に変化していきます。
老犬になると、運動量が減少し、基礎代謝が落ちるため、食事内容や摂取量の見直しが不可欠です。
今回は、老犬にとって適切な摂取量や、飼い主さんが気をつけるべき栄養管理のポイントについて詳しく解説していきます。
■ 老犬とはいつから?
一般的に、犬は7歳頃から「シニア」と分類されますが、犬種や体格によって老化のスピードは異なります。大型犬は5〜6歳頃から、小型犬は8歳前後から老犬とされることが多いです。
老化のサインについては以下の記事も参考にしてみてください。
» 老犬はいつから?老化のサインについてご紹介
老犬になると、筋肉量が減少しやすくなり、関節や内臓の機能も衰えてきます。そのため、若い頃と同じ食事量を続けていると、肥満のリスクが高まり、健康を損なう原因となることもあります。
■ なぜ摂取量の見直しが必要?
老犬の摂取量の見直しが必要な理由は、以下のとおりです。
1. 基礎代謝の低下
年齢とともにエネルギー消費量は減少します。若い頃と同じカロリーを摂取し続けると、余剰分が脂肪として蓄積されやすくなり、肥満の原因になります。
2. 運動量の減少
老犬は筋肉の衰えや、気力の低下などにより散歩や遊びの時間が短くなりがちです。消費カロリーも減るため、摂取量とのバランスを見直す必要があります。
3. 消化機能の変化
消化器官の働きも加齢とともに衰えるため、消化しやすく、栄養価の高い食事が求められます。摂取量だけでなく、食材の選び方や調理方法も見直しが必要です。
■ 適切な摂取量の目安とは?
老犬に必要な摂取カロリーは体重、年齢、活動量、健康状態によって大きく異なります。
以下はあくまで一般的な目安ですが、飼い主さんが食事の摂取量を考えるうえでの参考になるでしょう。
・小型犬(体重5kg前後):1日あたり約200〜300kcal
・中型犬(体重10〜15kg):1日あたり約400〜600kcal
・大型犬(体重25〜30kg):1日あたり約800〜1000kcal
ただし、これは「健康な状態の犬」を基準とした目安です。持病がある老犬や、運動をしていない場合はさらに調整が必要です。獣医師と相談しながら個別に最適な摂取量を決めるのがベストです。
■ 適切な食事内容の選び方
食事量だけでなく、食材の質も老犬の健康には重要です。以下の点に気をつけてみましょう。
1. 高タンパク・低脂肪
老犬は筋肉の維持が難しくなるため、質の良いタンパク質をしっかり摂る必要があります。ただし、脂質は控えめにして、肥満の予防につなげましょう。
参考記事:犬に与えたいタンパク質 与え方について解説
2. 消化に優しい食材を選ぶ
加齢により消化能力が低下している老犬には、煮込んだ野菜や柔らかく調理された肉など、消化しやすい食材が適しています。ドライフードよりもウェットフードや手作り食を取り入れるのも良い方法です。
参考記事:老犬の体調に合わせて作りたい!老犬ごはん
3. ビタミン・ミネラルの補給
特に関節の健康をサポートするグルコサミンやコンドロイチン、抗酸化作用のあるビタミンEなどを含んだ食事が効果的です。これらの栄養素はサプリメントで補うことも可能です。
持病がある場合には、サプリメントを与える前に獣医師に相談しましょう。
参考記事:老犬にサプリメントは必要?注意点とともに解説
■ 老犬の食欲が落ちているときの工夫
加齢により嗅覚や味覚が衰えると、食事への関心が薄れ、食欲が低下することもあります。そんな時、飼い主さんにできる工夫には以下のようなものがあります。
・食事を温めて香りを立たせる
・手で与えてスキンシップをとる
・一度に与える量を減らし、1日3〜4回に分けて与える
・好物を少し混ぜて食欲を刺激する
様々な方法を試してみて、愛犬が楽しめるように工夫してみましょう。
参考記事:老犬の食欲不振
■ 摂取量の管理と健康チェック
飼い主さんは、毎日の体重や排便の状態、元気さ、食べ方の変化などを観察することが大切です。これらは適切な摂取量を判断する材料になります。
急激な体重の増減が見られた場合は、重大な病気に罹っていることも考えられますので、すぐに獣医師に相談しましょう。
また、老犬は腎臓や心臓に疾患を抱えることが多いため、定期的な健康診断と血液検査も欠かせません。
参考記事:気づかぬうちに進行してしまう!犬に起こる内蔵の病気
■ 愛犬に合わせた食事を考えよう
老犬にとって、食事は単なる栄養補給ではなく、健康を保ち、生活の質を維持するための大切な要素です。
摂取量や栄養バランスを見直すことで、肥満や栄養不足を防ぎ、愛犬が元気に長生きするサポートができます。
飼い主さんには、犬の年齢や状態に合わせた柔軟な対応が求められます。市販の老犬用フードを活用するのも良い方法ですが、最終的には愛犬に合った食事を見つけることが大切です。
愛犬の健やかな老後のために、ぜひ日々の食事と向き合ってみてください。
(医療監修:獣医師 先崎直子)
関連のあるコラムを見る
最新のコラムを見る
介護のノウハウを知る
介護用品を調べる
- 介護のノウハウを知る
PR
PR
PR