老犬の食欲不振
2018.06.03 (老犬ケア)
気温が上がり、ムシムシと湿度が高く、暑さに弱いワンちゃんにとって過ごしにくい日が多くなってきました。梅雨時期から夏にかけて食欲が落ちたり、動きが鈍くなる老犬が多くなります。
フードを食べない時、そのまま様子をみていてよいのか、病院にいったほうがよいのか、迷う飼い主も多くいるようです。病気なのか夏バテなのかしっかり判断しておかないと、体調を悪化させてしまうこともあるので、初夏の食欲不振の対処法をまとめました。
よく「うちの子は年をとったからご飯を食べない」というお話を聞きます。食欲がない原因は暑さなのか、年齢なのか、症状を見極めないと病気を見落としてしまうこともあります。食欲がなくなったと感じたら、いくつか症状をチェックしておきましょう。
まずは口の中。
歯や歯茎の状態を確認して、歯に歯石がたまっていないか、歯茎が赤く炎症を起こしていないか、口内炎ができていないか・・など、口の中の状態を確認します。
歯槽膿漏が進んで、歯がグラグラしていると、それだけで固いご飯は食べにくくなります。また、歯茎が白っぽく見える場合は、目に見えない出血があり、貧血を起こしている可能性があります。少量だと気づきにくい出血は血尿や血便など、さまざまあります。歯や口の中に炎症が見つかった場合は、すぐに動物病院を受診して歯の治療や炎症の原因を取り除く必要があります。老犬の歯周病率はとても高く、高齢になるほど歯が抜け落ちて、将来的に柔らかい流動食しか食べられなくなる老犬も多くなりました。しっかり食べることは健康を維持するために必要なことなので、体が健康である以上、しっかり食事が摂れる歯を持つことも大切な健康管理になります。
また、歯茎が急に白っぽくなり、元気がなくなった時には、体調が急変している場合が多いので、速やかに動物病院を受診してください。
次に体重です。
毎日神経質に計測する必要はありませんが、運動量が減ったり、内臓機能が低下していくと必要なカロリーも減っていくので、自然と食事量が減ることがあります。今までご飯をお皿に入れると、あっという間に平らげていた老犬が、ゆっくり食べるようになるということもあります。
運動が減って、筋肉量が落ちれば自然と体重は減るものですが、急激に減ることはなく、数カ月単位で体重の数%と穏やかに減少していきます。最低でも1週間に1度は体重を計り、目に見えて体重が減っているようなことがあれば、他に体重が減る原因があるのかもしれないので、獣医師に相談する必要があります。
生活環境もチェックしてみましょう。
春から初夏にかけて、散歩に出る時間帯の気温を注意する必要があります。春は何時でも心地よい時間ですが5月から6月頃からは朝9時や夕方5時でも天候によっては気温は20度を超え、アスファルトからの照り返しも強い日があります。春からの習慣で時間を変えずに散歩に出ていると、老犬は暑さで体力を消耗してしまいます。犬は被毛がある分、暑さにとても敏感です。散歩に出る時は気温と湿度をよく考えて、老犬の体力に合わせた時間帯を見極めて散歩に出るようにしましょう。
排泄物も毎回チェックします。
ウンチは犬にとって健康のバロメーターです。色が黒っぽくなっている時は消化器からの出血も疑われますし、鮮血がついている時は肛門近くからの出血です。毎日食べているものが同じでも、固さや色、臭いには変化がありますから、よくチェックして、おかしいと思うときはすぐに病院を受診して検査しましょう。ウンチを持っていくと、診察の参考になります。
すでに冷房を使い始めているご家庭もあると思いますが、低温にしておかないと過ごせない犬以外はエアコンの利用はもう少し我慢したいところです。これから来る本格的な夏に備え、今から冷房に慣れ過ぎると暑さへの抵抗力も落ちてしまいます。抵抗力のない老犬はますます食欲や体調管理が難しくなります。
扇風機や送風を利用して、少しずつ夏の気温に慣れさせる準備期間にしましょう。ただし、今年は日替わりで気温や湿度が急変する傾向にあるので、前日に比べかなり気温や湿度が高くなりそうな日には、特に空調に留意する必要があります。
また、食欲がないからといって、大好きなおやつのジャーキーやお菓子を与えていると、それだけでお腹が満たされ、肝心な食事が摂れなくなり、栄養状態が悪化することもあります。食べやすい食事としてはウェットフードを加えてみたり、少量の茹でお肉(牛やささみ※アレルギーに注意しながら)を加えてみるなど、バランスをみながら工夫してみるのも一手です。しっかり食べる工夫をしながら、夏にむけての体力づくりをしておきましょう。
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