2025.08.30 (老犬ケア)
進化するケアのかたち 遠隔医療は老犬にも利用できる?
高齢化社会が進むなか、人間と同じように犬の寿命も延びています。特に愛情深く世話をされてきた犬たちは、15歳や20歳といった年齢まで生きることも珍しくありません。
しかし、それに伴い介護や通院の負担も増えており、飼い主さんにとって心身の負担は決して小さなものではありません。
そんな中で注目されているのが「遠隔医療(オンライン診療)」という新しい選択肢です。
今回の記事では、「遠隔医療は老犬にも利用できるの?」と疑問に思う飼い主さんに向けて、老犬にとっての遠隔医療の意味や活用方法について詳しくご紹介します。
■ 遠隔医療とは?
遠隔医療とは、スマートフォンやパソコンを使って獣医師とオンラインでつながり、診療や相談を行うサービスです。
人の医療現場ではすでに普及が進んでいますが、近年では動物医療でも取り入れることが増えてきました。特に老犬や慢性疾患を抱えるペットにとって、病院までの移動負担が少なくて済む点が大きなメリットです。
■ 老犬にとっての遠隔医療のメリット
老犬にとって、遠隔医療にはさまざまなメリットがあります。
1. 通院ストレスの軽減
老犬にとって、動物病院までの移動は大きな負担になります。
足腰が弱っていたり、環境の変化に敏感になっていたりする老犬にとって、車やキャリーでの移動は大きなストレスになります。遠隔医療であれば、自宅にいながら診療を受けられるため、こうした負担を最小限に抑えることができます。
2. 時間と労力の節約
飼い主さんにとっても、仕事や家事、育児と老犬のケアを両立させることは大変です。
オンライン診療であれば、予約時間に合わせて接続するだけなので、通院のために時間を空ける必要がありません。
3. 日常の変化に早期対応
「最近、食欲が落ちた」「歩き方がおかしい気がする」といった小さな変化でもすぐに相談できる環境が整うことで、早期発見・早期治療につながります。
特に老犬は症状が急激に悪化することもあるため、ちょっとした変化を見逃さないことが重要です。
4. 継続的な健康管理
慢性疾患(心臓病、腎臓病、糖尿病など)を抱えている老犬にとって、継続的な診療とモニタリングは不可欠。遠隔医療であれば、定期的な経過観察や投薬指導などを自宅で受けることができ、病気の悪化を防ぐ手助けになります。
農林水産省によるガイドラインでは、初めて受診する症状の場合は、かかりつけの動物病院を受診することが推奨されています。
(参考:愛玩動物におけるオンライン診療の適切な実施に関する指針について|農林水産省)
■ どんなときに遠隔医療を活用すべき?
遠隔医療が特に力を発揮するのは以下のようなケースです。
・軽度の不調や日常的なケアに関する相談(皮膚トラブル、食欲の変化など)
・定期的な慢性疾患の経過観察と相談
・動物病院が遠方にある、または通院が難しい場合
・飼い主さんが高齢、または外出が困難な場合
ただし、緊急性が高い症状(呼吸困難、大量の出血、痙攣など)については、すぐに対面での受診が必要です。遠隔医療はあくまで「補完的」な手段として活用することが大切です。
■ 遠隔医療を活用するために必要な準備
遠隔医療を利用する場合は、以下のポイントをチェックしましょう。
1. 対応している動物病院の確認
すべての動物病院が遠隔医療に対応しているわけではありません。まずは、かかりつけの病院がオンライン診療を導入しているか確認しましょう。
また、オンライン診療を提供する専門サービスを利用することも可能です。
2. 通信環境と機材の整備
スマートフォンやタブレット、パソコンなどの端末と、安定したインターネット環境が必要です。音声や映像が乱れると正確な診療ができないため、事前にテストしておくと安心です。
3. 診療前の情報整理
遠隔診療では、視診や問診が中心になります。
愛犬の症状や行動の変化、過去の診療記録、食事の内容などを事前にメモしておくと、診療がスムーズに進みます。心配事も含めてまとめておきましょう。
■ 飼い主さんが気をつけたいポイント
遠隔医療を活用する際には、以下の点に注意が必要です。
・動物の状態を過小評価しないこと(異変があれば迷わず対面受診を)
・診療内容や処方についてしっかり確認し、必要に応じてメモを取る
・相談後に状態が悪化した場合、すぐにかかりつけの病院へ連絡する
また、遠隔医療の限界を理解したうえで、あくまで「日常のケア」や「経過観察」の一環として利用する姿勢が重要です。
■ これからの動物医療と老犬ケア
高齢化が進むペット社会で老犬の健康管理がますます複雑化している中、遠隔医療は飼い主さんにとって大きな助けとなる可能性があります。
進化したテクノロジーを上手に取り入れることで、老犬の生活の質を高め、不安なく老後を支えることができるでしょう。
飼い主さんにとっても、「何かあったらすぐに相談できる」環境は大きな安心材料になります。遠隔医療という新しいツールを活用しながら、愛犬との暮らしをより豊かにしていきましょう。
今後は、AIやモニタリング機器と組み合わせたケアの発展も期待されており、よりきめ細やかなサポートが実現できるかもしれません。
(医療監修:獣医師 先崎直子)
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