施設訪問記 Cuddle Cat
2022.09.08 (老犬ケア)
千葉県柏市にある老猫ホーム、猫専用ホテル「Cuddle Cat(カドル キャット)」を訪問し、代表の甲斐さんにお話を伺ってきました。
Cuddle Cat(カドル キャット)のCuddleは抱擁という意味です。挨拶の抱擁はHug(ハグ)といいますが、それよりもっと愛情のこもった抱擁。飼い主さんと猫ちゃんがお互い愛情をもってギューッとできるような関係になるお手伝いができますように、という想いをこめてつけたそうです。
甲斐さんは17年前から猫の保護活動をされてきました。
たまたま、ある雨の日に1匹の猫を公園で保護されたことがはじまりで、そこからご縁があり、保護する猫ちゃんが増えていきました。その後、保護した猫ちゃんを、甲斐さんが人慣らしをし、里子に出すようになります。これまで累計で約100匹の猫ちゃんを里子に出されてきました。
保護活動はボランティアでおこなっていましたが、避妊・去勢手術、病検査などの医療費が大きな負担になっていたそうです。しっかりと収入を得て、保護活動にもあてようと考え、2018年、自宅を改装し、老猫ホームと猫専用ホテルの事業を始めました。
利用者は、単身で猫を飼ってきて、施設に入ることになったので面倒が見られなくなった方や、飼い主さんが亡くなられて、そのご遺族が預けたいという場合も多いそうです。
猫ちゃんに対する愛情は、飼い主さんそれぞれ違い、細かくこうしてくださいという方、毎月必ず面会に来られる方もいれば、とにかく預かってくれればいいという方もおられます。どんな飼い主さんに対しても、なるべくそれまで過ごしたおうちと同じ条件でお預かりするよう配慮されているとか。
そして老猫が病気になった時に、治療して延命してなるべく長生きしてほしいのか、寿命よりも痛みがない程度に治療し、楽しく過ごすことを優先されるのかは、必ず確認しているそうです。
猫ちゃんには、その子の性格に合わせて対応しておられます。拒否する子には、あまり無理に人慣らしをしたりはせず、猫ちゃんのペースにあわせてお預かりしているそうです。
「短頭で飼われていた猫ちゃんも、最初は他の猫ちゃんと相性が悪いこともあるけれど、数ヶ月でちゃんと猫ミュニケーション(猫同士のコミュニケーション)が取れるようになりますね。」とお話ししてくださいました。
さまざまなご事情の猫ちゃんをお預かりする中で、ご夫婦が離婚をしてどちらも飼えなくなって預けられたとても人懐っこくかわいい8歳の猫ちゃんのことが印象深く残っているそうです。
ご主人は猫ちゃんを泣く泣く手放し、毎月面会に来ていました。しかし猫ちゃんは腎不全を持っていて、残念ながら1年程度で亡くなってしまいます。その時、飼い主さんがお花を持ってきて飾り、「本当にお世話になりました。」とおっしゃってくださいました。甲斐さんは「この子は愛されていたんだな。」と感じ、この事業をやっていてよかったと強く思ったそうです。
今後、取り組んでいきたいことを伺うと、「問い合わせが来てお断りすることもあって心が痛むので、手伝ってくれる仲間何人かと、別に施設の建物をつくって運営していくのが理想です。」と語ってくださいました。ただ一緒にやるには考え方が同じでなければ難しいので、今はご自身でできる範囲で運営されています。
最後に、高齢の猫や犬を抱えて困っている飼い主さんへ伝えたいことを伺いました。
「ご無理なさらず、ということですね。何かの時にはお預かりする受け皿はあるので、ご自身が納得するまで一緒に居てあげたり、ご家族でまず飼える方を探してみたりしてほしい。もし難しければ、猫ちゃんがリラックスして過ごせるような環境は整えているので、ご心配なくご入居ください。」とあたたかいメッセージをいただきました。
公園で1匹の猫を保護するまでは犬派だったという甲斐さん。「猫ちゃんは、しつけをしなくてもトイレも自分で覚えるし、かまってかまってと来ないのでラク。でも、ちゃんと喜怒哀楽があって、しっかりコミュニケーションがとれるし、最高ですね。」と猫ちゃんへの愛情をお話してくださいました。
200匹以上の猫ちゃんとかかわったご経験と、猫ちゃんへの深い愛情を持つ甲斐さんと過ごす猫ちゃん、そして飼い主さんたちはとても幸せで、「Cuddle」(抱擁)の名前通りの施設だと感じたインタビューでした。
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