暑さと心臓病
2019.08.28 (老犬ケア)
酷暑だった8月も終盤になり、朝晩には秋の風を感じる日が出てきましたが、日中はまだ残暑が厳しい今日この頃。急激な気温の上昇や湿度、エアコンの冷え過ぎなど、さまざまな環境に順応できず犬も人も体調を崩しがちです。
とくに老犬は急激な寒暖差が苦手で、時には緊急事態に陥ることも。そのひとつが「心不全」です。生涯動き続ける大切な臓器であり、負担がかかりやすい心臓。気をつけたい注意点をまとめてみました。
■些細なことが原因で発症する心臓病
空調管理された涼しい室内から、暑い屋外に出たり、車に乗ったりしたときの急激な温度変化は老犬の体にとって大きな負担です。とくに高齢であったり、心臓などの循環器に障害がある犬は注意が必要です。
先天性心疾患、弁膜疾患、フィラリア症、心筋症などが犬で見られる代表的な心臓病ですが、甲状腺機能低下症を基礎疾患として持っていると、心臓に悪影響を及ぼします。また、寒暖差だけでなく、過度な運動、肥満も症状を悪化させる要因となります。
■珍しい病気ではない心臓病
犬にとって心臓病は決して珍しい病気ではありません。とくに高齢になってくると発症リスクは高まり、先天性の場合は若くして発症することもあります。人の病気でも心臓疾患は上位にランクインしますが、犬猫も同様に死亡原因の上位に常に入っています。
心臓病にはいろいろな種類があり、症状も違ってきます。心臓機能が低下すると、体に必要な血液を体の中に送り出せなくなり、酸素なども十分に循環できなくなります。
以下に心臓病の主な症状を記載します。気になる症状がある場合は早めに受診するようにしましょう。
〇咳がでる(ガーガーと大きな咳やコンコンと乾いた咳)
〇好きだった散歩や運動を嫌がるようになる
〇息が荒くて呼吸が苦しそう
〇すぐに疲れる。散歩中に座り込んで歩かない
〇食欲不振
■早期発見で進行を遅らせる
一度心臓病を発症してしまうと完治が難しく、治療方法もその原因や症状によって違います。ただ、獣医療の発達により、それぞれに適した治療方法が見出され、生活環境を整えたり、塩分を控えて心臓の負担を減らす食事療法などで症状を和らげることができるようになってきました。
心臓病とうまく付き合うためには早期発見で一日も早く治療をはじめ、安静に過ごしたり、投薬によって症状を和らげ、根気よく治療を続けていくことが大切になります。進行を遅らせるための治療ではありますが、老犬の体の負担は軽減されて過ごしやすい環境を整えることができます。
日々の生活の中で少しでも気になる症状があれば早めに病院を受診して、診察を受けることをお勧めします。もし、咳などの症状が気になる場合は、スマホの録画機能を使って録画し、獣医師に見せながら相談するのも良いでしょう。
症状に合わせ、体への負担が少ない治療を続けていきましょう。
(医療監修:獣医師 先崎直子)
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