平成のペットブームを振り返る
2019.06.12 (老犬ケア)
平成が終わり、令和となって1ヶ月が経ちました。時代の切り替わりに出会う機会はそうあることではありません。昭和から平成への時と違い、新しい時代の幕開けをゆっくり感じることができた今回はとても感慨深いものがありましたね。
今回は令和へとバトンタッチした平成時代のペットとの暮らしを振り返りたいと思います。
平成の30年間でペットと人の暮らしには大きな変化がありました。犬や猫を家族として迎え、大切に育てる家庭が増えてきました。また、獣医療が進歩したことで犬や猫の平均寿命も長くなりました。
犬から猫へのシフトも平成時代の大きな変化といえるでしょう。
圧倒的人気だった犬は、2012年頃から徐々に飼育数が減り始め、2017年にはついに猫の飼育数が犬を上回りました。
世帯人数の減少、共稼ぎ世帯の増加により自宅を空ける機会が増えたこと、また飼い主自身の高齢化などにより、散歩などの必要があり、比較的手のかかる犬を飼うのを敬遠しようという傾向が高まったためです。
愛犬・愛猫が長寿になったことによって、介護が必要になるという問題も起き始めました。
とくに高齢の飼い主にとっては体力的、環境的制約のため、その介護がままならないケースも起きています。
そんな中、注目されはじめたサービスの一つが老犬・老猫ホームです。
高齢者ご自身の家族に介護が必要が生じ、愛犬・愛猫の介護まで手が回らない、愛犬の認知症による夜鳴きなどで近隣に迷惑になってしまうといった理由から、人間と同じように老犬・老猫も介護や飼育の専門家のサポートを受ける飼い主が増えつつあります。
環境省や各自治体は殺処分ゼロを目指す施策に積極的に取り組み始めました。
保護犬や保護猫にも注目が集まり、多くの愛犬家や愛猫家が抵抗なく保護団体から家族を迎え入れる時代になりましたが、保護される犬や猫の数は未だ年間10万頭を超えています。(犬・猫の引取りおよび負傷動物の収容状況 平成30年 )
平成時代によく知られるようになったのが「アニマルウェルフェア」でしょう。
アニマルウェルフェアとは、人間が動物に対して与える痛みやストレスといった苦痛を最小限に抑え、動物の心の幸福を実現する考えのことをいいます。 動物保護団体では保護した動物たちの扱い方が動物福祉の観点から守られているかということに関心が持たれ、ブリーダーやペットショップに対しても厳しい目が向けられるようになりました。
平成は災害の時代でもありました。
震度7以上の地震が全国で5回も発生し、そのたびにペットとの同行避難やペット防災、ペットと一緒に避難する飼い主の苦悩が伝えられました。
ペット防災という言葉が一般的に使われるようになり、国や行政も指針をまとめ、飼い主の防災意識が高まったことは、今後に生かされることだと思います。
令和は愛犬、愛猫をより近い存在として大切にしていく時代になります。
私たち老犬ケアがかかわる介護の世界でも飼い主や愛犬の高齢化もますます進み、介護の問題だけでなく、遺されるペットの問題も顕在化するでしょう。
老犬ホームだけでなくペット遺贈やペット信託など様々なサービスの重要性も高まるものと思われます。
いずれにせよ、令和という時代が飼い主のみなさんにとっても愛犬・愛猫にとっても、より幸せな時代であるよう願うばかりです。
(医療監修:獣医師 先崎直子)
※一部文章を変更(2019年6月17日)
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