老犬の気になる体臭
2019.02.10
犬にはもともと体臭があり、臭いの強さや種類は個々に違います。体臭は老化とともに強くなる傾向があり、これは人間の加齢臭と同じようなものです。可愛い愛犬の臭いでも強くなってくると気になりますね。原因と対策をまとめてみました。
■犬の臭いの原因とは
犬には「エクリン汗線」と「アポクリン汗線」という2つの汗腺を持っています。エクリン汗線は肉球にしかなく、臭いの原因となるアポクリン汗線は人間ではわきの下などにあり、脂肪分の多いベタっとした汗をかくのが特徴です。皮下組織と直結しているアポクリン汗線から分泌された汗と皮脂が酸素に触れて酸化したり、微生物によって分解されることで雑菌が発生し臭いが発生します。そのほかにも臭いの原因となる箇所は、目やに、口臭、耳の中や肛門腺の分泌物などがあります。
■臭いを軽減する方法
犬の臭いを軽減するためには、臭いの原因を知る必要があり、特定できたらその部位を清潔にすることが必要です。ただ、臭うからといって洗いすぎるとかえって乾燥が進み、悪化することもあるので注意が必要です。
・耳の臭い・・・健康な耳で汚れがなければそれほど臭うことはありませんが、垂れ耳の犬は体温で耳の中が蒸れやすく、雑菌が繁殖しやすい環境になるので臭うことがあります。耳の中に茶色の耳垢や黒い耳垢がこびりついている場合は、耳ダニの繁殖や細菌や酵母菌による外耳炎を発症していることもあります。汚れは柔らかいガーゼやコットンにイヤークリーナーを含ませて、こすらずに優しくふき取りましょう。耳の中の毛が長い場合は短くカットするのも有効です。改善しない場合は動物病院を受診して、改善することをおすすめします。
・肛門腺の臭い・・・おしりの穴周辺にある肛門腺は分泌物を貯める肛門嚢です。排便時に肛門脇から分泌物が少しずつ出たり、興奮したときに分泌物が出ることがありますが、溜まりがちな犬が多いようです。そのままにしておくと、炎症を起こしたり、破裂することがあります。トリミングをしている老犬はその時にケアしていると思いますが、トリミングをしない場合は定期的に肛門腺絞りをする必要があります。コツがいる作業なので、難しければ動物病院やサロンにお任せしましょう。
・シャンプー・・・皮脂腺からの分泌物が増えることで臭いが増すことがありますが、シャンプー頻度は3週間程度に1度が良いとされています。それ以上にシャンプーを行うと、逆に肌が乾燥してフケがでたり、皮膚を守るバリアが弱くなって雑菌が繁殖しやすくなります。また、皮膚のトラブルを抱えている場合は、使うシャンプー剤やシャンプーの頻度を、かかりつけの獣医師に相談しましょう。
・目の周り・・・白い犬の目の周りが茶色く変色していることがありますが、これは流涙症(涙やけ)と言われ、涙やけの部分に雑菌が繁殖していることがあります。涙や目やにはコットンで優しくふき取り、目の炎症や逆さまつげが原因の場合は涙を軽減するように病院で対処してもらいましょう。
・口の臭い・・・高齢犬の場合は8割が歯周病になっているといわれています。歯石や口内殺菌が臭いの原因になっていることもありますし、内臓疾患からくる臭いの場合もありますから、異常な臭いに感じた場合は、動物病院を受診してください。また、よだれの多い犬種ではよだれが原因で口の周りや胸などの毛が汚れて雑菌が繁殖している場合もありますから、よく拭きとってあげてください。
■加齢臭に隠れている病気
加齢臭は仕方がないとあきらめがちですが、臭いの原因に病気が隠れていることがあります。歯周病も放っておくと内臓疾患の原因になりますし、涙やけはドライアイなどにつながる原因にもなります。外耳炎も早期に発見して処置したい疾患ですから、悪化させないように注意が必要です。
■まとめ
老犬の臭いは自然のことと受け止める大らかな気持ちも必要です。病気以外の臭いであれば、お部屋に空気清浄機や消臭剤などを設置して、臭いの軽減に努め、ペット用ベッドなどはこまめに洗濯をするなど、臭いを軽減するように工夫してください。
(医療監修:獣医師 先崎直子)
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