2025.11.12 (老犬ケア)
施設訪問記 老犬介護ホームてるハウス
福岡県北九州市八幡東区の住宅街にある老犬介護ホーム「てるはうす」を訪ね、丸尾さんにお話を伺いました。
人の在宅介護で21年のキャリアを重ね、食育やアロマ、マッサージ、トレーニングまで学びを広げてきた丸尾さんの出発点は、29歳のときに迎えたゴールデン・レトリバー“テル”との出会いです。
白い絨毯の上の粗相に驚き、育犬書を読みあさり、子どもを育てるように向き合った日々が、やがて犬の介護へと自然に思いを導きました。
人の現場で培った視点は今の「てるはうす」に深く息づいており、「見るのは犬だけではありません。介護している人の心身が擦り切れてしまう前に、まず休める時間をつくってほしいんです」と語ります。
デイ利用から連日の通所、短期・長期の宿泊まで家庭のリズムに合わせて柔軟に受け入れ、料金は「自分が飼い主だったら払える額」をモットーにリーズナブルな設定としています。
過度に値上げをしない方針を続け、飼い主に寄り添う姿勢を大切にしています。
現場ではケアを丁寧に行い、噛みやすい、吠えやすい、目が見えにくいなど一頭ごとに異なる状態に合わせ、その子のペースを最優先にします。
若いころに学んだトレーニングの知識も活かし、まず理由を探ってから関わり方を決めるのが丸尾さんの流儀です。開所まもない頃に出会った飼い主の方には、送り届けた帰りに玄関先でごはんの与え方や体の支え方をレクチャーし、家庭で続けられる介護を一緒に組み立てました。
旅立ちを迎えた愛犬たちへは、エンジェルケアまで寄り添って家族とともに送り出したこともあるそうです。
最大5頭までの少頭数制で、顔の見える距離感を保ちながらその子らしさを守って一日を整えています。スタッフを増やせば受け入れ頭数は広げられるものの、丸尾さんは基本を自分ひとりで担う形を選びます。
「人が増えれば教える時間が必要になりますし、現場の空気も変わります。私は犬の“今”に集中したい。70歳まで元気で続けられたら、それがいちばんの理想です」と丸尾さんは語ります。
規模の追求ではなく、ご縁と信頼の輪を少しずつ育てていく姿勢が印象的でした。
最後に老犬ケアをご覧のみなさまへのメッセージをお伺いすると、「悩み続ける前に、まず相談してください。老犬介護は“思い”だけでは続けにくい場面がたくさんあります。知識と経験があるところを、納得いくまで見学やお試しで確かめてください。数時間だけ預けて眠る、家族と交代で通わせる——それだけで、気力も体力も戻ってきます」とお話いただきました。
飼い主の表情が柔らぐと犬の表情も変わる、その瞬間を何度も見てきたからこその言葉だと感じました。
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