老犬の冬の熱中症対策について
2024.01.09 (老犬ケア)
「冬に熱中症?」と思われる方も多いかもしれません。数は夏ほど多くはないものの、実は熱中症は冬にも起こる可能性があるのです。
今回は、冬に起こる熱中症とその対策について解説します。
■ 冬の熱中症は屋内で起こる
熱中症は、高温多湿の環境に長時間いることで体温が上昇し発症します。熱中症は夏ならではのものと思われがちですが、実は、条件さえそろえば季節を問わずに発症するのです。
犬の場合、体温が40℃を超えると熱中症にかかりやすくなります。
犬の平均体温は、個体差はありますが、平均38℃前後から39℃前後です。老犬は、食事量や運動量が減ることで、成犬に比べると平均体温は多少下がります。
それでも人の平均体温と比べると2℃前後は高く、人が「暖かい」と感じる温度では、犬は「暑い」と感じます。冬の室内が暖房によって暖まっていると、犬は熱中症の症状を起こす危険性があるのです。
■ なぜ老犬は冬の熱中症に罹りやすい?
老犬が熱中症にかかりやすい原因は、体温調節機能の衰えが第一に挙げられます。
また、持病を抱えることも増えてくるため、循環器系や呼吸器系の機能がうまく働かないことによって、熱中症になりやすいといえるでしょう。
そして、体温が上昇していることに鈍感になってくることも原因のひとつに考えられます。自分の体が熱くなっていることに気づかないでいると非常に危険です。
■ 老犬だからこその対策を取ろう
【住環境を整える】
全身を被毛で覆われている犬は、私達人間のように衣類を脱ぎ着して暑さや寒さを調節することができません。愛犬が暖かい場所と涼しい場所を自由に行き来できるよう、環境を整えてあげましょう。
ワンルームなど、暑さから逃げ場がないような場合は、ひんやりするクールマットなどを日陰に置いておくのもよいでしょう。
また、脱水症状を起こさないために、新鮮な水をいつでも飲めるようにすることも大切です。
【愛犬の体温を計る】
家で愛犬の体温を計ることができると、いざというときに役立ちます。ある程度決まった時間に定期的に計れば、愛犬の平熱を知ることができます。
体温を測って変化があったときには動物病院へ駆け込むこともできますし、早期の処置もできます。
使用する体温計は肛門や直腸を傷つけないように、必ずペット用の先が柔らかいものを使いましょう。耳の内側のような皮膚が露出している部分に近づけて体温を計る、非接触型の体温計も使用できます。
体温を計るときは、愛犬がリラックスしている状態で行うのがコツです。
◾ 最後に
老犬は冬でも熱中症になりやすいため、きちんと対策をとって予防することが大切です。
人の住まう環境が向上している今、人と犬の感じる心地よさの違いに気づくことが、愛犬と幸せに長く暮らすポイントのひとつになるのかもしれません。
室内で横になってハァハァと息が荒くなっている、触ったときに体が熱いなど、普段と違う様子を感じたら、すぐにかかりつけの動物病院で診てもらいましょう。
(医療監修:獣医師 先崎直子)
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