天候の変化に注意!犬の気象病について解説
2023.08.09 (老犬ケア)
気象の変化によって自律神経が乱れることで身体にさまざまな不調が起きることを、俗に「気象病」と言います。
台風のシーズンなどは特に天気や気温が大きく変化します。雨を降らす低気圧が近づくと、頭痛やだるさを感じる方もいらっしゃるのではないでしょうか?
犬も人間と同様に、天気の変化を敏感に感じ取り体調を崩す場合があります。体力が低下している老犬は特に天気の影響を受けやすいため注意が必要です。
今回は、犬の気象病について症状や対策について解説します。
■ 犬の気象病の症状とは?
気象病は気圧や寒暖差が原因となり、自律神経が乱れることで身体にさまざまな不調を及ぼします。具体的には以下のような症状や行動がみられます。
◇ 症状
・よだれが出る
・嘔吐や下痢を起こす
◇ 行動
・普段は元気よく動いている時間にじっとしている、寝ている
・飼い主さんの周りをうろうろする
・甘える時間が増える
・落ち着きがない
・いつもの食事を食べたがらない、または少ししか食べず残す
・イライラしている、攻撃的な表情や唸り声を出す
天気や気温、気圧の変化があるときは、こういった症状や行動をしていないか、様子を見てみましょう。また、普段と違うストレスがかかっていないかを確認し、半日くらい様子を見ましょう。
気象病は天気の回復とともに回復していきますが、上記のような症状や行動が1日以上続くようであれば気象病以外の原因も考えられます。躊躇なく動物病院を受診しましょう。
■ 天気や気圧の変化の影響を受けやすい犬の持病は?
普段から敏感な犬は、ちょっとした変化でも影響を受けやすいと考えられます。そして、持病がある老犬は気象病の症状が出やすくなることがあります。
以下のような持病がある場合は特に気象病に注意しましょう。
【てんかんや水頭症、脊髄空洞症といった、脳や脊髄の病気】
気圧の変動によって、脳や脊髄を覆う脳脊髄液の圧も変動します。水頭症では、気圧が急激に下がることで脳圧が上がり、症状が悪化することが考えられます。
また、てんかんを持つ犬のうち、約1割程度が気圧の変化で発作の症状を起こすと言われています。
【関節炎や骨折、手術の経験がある】
気圧が下がると血管や関節包が拡張し、体液が血管外の組織にたまることで体が浮腫みます。また、気温の変化が激しくなることで自律神経が乱れ、血流が滞ることで浮腫みやすくなります。
それが原因となり神経が圧迫され、もともとある痛みが強くなったり、過去の傷が痛みだしたりします。
■ 天気や気温の変化に敏感な犬のための対策は?
飼い主さんが犬の行動や症状の変化を見つけたとき、それが天気によるものなのか、別の原因によるものかを判断するのは、とても難しいことです。もし、天気以外に原因が見つからないようであれば、しばらく様子を見ましょう。
また、普段以上に落ち着かなくなったり、甘えたりといった行動を示してきた場合、飼い主さんは普段どおりに振る舞うことが大切です。
そして、普段から犬が安心できる場所を用意しておくことも大切です。
クレートやケージを用意して、その中でじっとしている場合は干渉せず、そっと静かにしてあげます。飼い主さんにとっても、じっくりと犬の様子を観察することができます。
◾ まとめ
犬も人間と同様に、天気の変化を敏感に感じ取り体調を崩す場合があります。その反応は犬によってさまざまで、もちろん、症状が出ない犬もいます。症状が数日に渡るような場合は、気象病以外の原因も考えられます。動物病院を受診してください。
日頃から犬の様子を観察できる環境を整え、適度な運動で健康維持を心がけましょう。
(医療監修:獣医師 先崎直子)
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