「介護の現場から生まれた犬用オムツカバー開発秘話」。【老犬ケア】

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介護の現場から生まれた犬用オムツカバー開発秘話

2021.10.15 

犬用おむつカバー寝たきりでオムツを履かせている老犬のお世話をしていると、ちょっと目を離した隙にオムツからオシッコが漏れて愛犬の体や床がびしょびしょになっていた……という経験はありませんか。
京都府京都市にある「老犬介護ホームろうたす」では、介護スタッフの「こんなのあったらいいな」という声から開発した、老犬のためのオムツカバーを販売しています。

このオムツカバーは「漏れを防ぐ」ということよりも「漏れてしまっても体を濡らさないように」ということを重視し、オムツによる擦り傷予防のための工夫もされているのが特徴。スタッフがお手製で作っていたものから、試行錯誤しながら改良を重ねていったその開発秘話を代表の中野さんに伺ってきました。

◾️ きっかけはコロナ禍になったこと

中野さんがろうたすを始めたのは今から7年前。当初は施設で預かる老犬には市販のオムツカバーを利用していましたが、日々の漏れや擦り傷が軽減するようにそれぞれの犬の体型に合わせてスタッフがお手製のカバーを作るようになりました。
そこから「こういうカバーが売っていたら助かるね」と、この商品の開発に発展していったそうです。

コロナ禍になり、ここ1年は施設の運営も大変だったと中野さんは振り返ります。
しかし、この大変な1年を経験したことで「何か新しいことを並行してやっていかなければ」と感じたのが商品開発のきっかけになったとのこと。コロナ対策の経済政策で開発資金の融資が受けやすくなったことも大きかったようです。

オムツカバー開発者の中野さん

◾️ 撥水生地はあえて使わない

中野さんが開発にあたって一番にこだわったのは生地。「ワンコが濡れることの軽減を第一に考えた」と、直接肌に当たる内側の生地は柔らかく吸水性の良い綿100%にしました。
オシッコが漏れてしまったとしても、カバーの裏地が水分を吸収し、肌が濡れてしまうのを軽減させます。

オムツカバーというと、防水性や撥水性の高い生地でないといけないというイメージがありますが、市販のそういったカバーは生地が固くて履かせづらい上にあまり体にフィットしません。さらに、オムツからオシッコが漏れて肌が濡れた状態でいると、皮膚が擦れ、毛が抜けたり傷になったりしてしまいます。
「24時間オムツを付けて過ごす子たちには、少しでも快適に過ごしてもらいたい」という思いから、多少洗濯の手間がかかっても吸水性が高く肌触りの柔らかい生地を選びました。

老犬用おむつカバー

ずっと横になって寝たきりでいると、どうしてもオムツの横から漏れてきてしまいます。そのため、最初から漏れることを前提にして試作を始めました。
最初はTシャツやトレーナーの生地を使ってみたり、伸縮性のあるレギンスの生地を使ってみたり。実際に現場で働く介護スタッフの意見を取り入れながら形も着脱のしやすさや体へのフィット感が出るよう修正を重ね、満足のいくサンプルが出来上がるまで2,3ヶ月かかったそうです。

◾️ 愛犬と飼い主さんのための商品

中野さんの開発したオムツカバーは、足の部分がズボンのように長くなっています。これはオムツをずれにくくするためと、足の擦り傷を防ぐため。また、体が曲がっていてもお腹が圧迫されないようにお腹のシャーリング部分にゴムを入れて伸縮性を持たせた構造は特許も出願中とのことです。
体が曲がっている子には、犬用より人間の赤ちゃん用のパンツタイプのオムツがおすすめなのだとか。ゴムが柔らかくて履かせやすく、巻くタイプよりも漏れにくいそうです。

カバーの側面はマジックテープで大きく開くようになっていて、オムツ替えのしやすさにも配慮しました。愛犬への負担と飼い主さんの負担が少しでも減るように、毎日老犬のお世話をしているスタッフの目線が活かされています。

老犬用おむつカバー

◾️ 介護を少しでも楽しんで欲しい

大切な愛犬のためといっても、介護には辛い作業が多いもの。辛そうな愛犬の姿を見るのも心苦しく、気持ちが塞ぎがちです。
そんな介護の現場だからこそ、オムツカバーの開発には見た目の可愛さにもこだわりました。
「可愛い洋服を着せるように、少しでも気持ちが明るくなるようなものを作りたかった」と、カバーは優しい色合いのピンクとブルーの2色展開にしました。お腹側はベージュ、内側はグレーとパッと見て分かりやすくオシャレなカラーリングです。
介護で大変な飼い主さんのストレスを軽減できるようなアイテムを作ることができればと日々試行錯誤し、現在はオムツカバーに続いて機能性を考えたパジャマを試作中だそうです。

現在試作中の犬用パジャマ

「オムツカバーは原価がすごくかかってしまっているため、安くできないのが悩みですが、きっと使ってもらった方には喜んでもらえると思っています。自信はあるんです」という中野さん。
開発にはスタッフがみんなで意見や使用した感想を出し合い、より良いものになるよう工夫を重ねてきました。
現在は一番需要が多い柴犬を対象に、MとLの2サイズ展開ですが、いずれはSサイズも発売する予定とのこと。販売には専用のホームページを開設しています。

介護の大変さや辛さは、実際にやってみないと分からないという部分がありますが、現場を知る中野さんのような方達が作る商品は、そんな大変さや辛さも小さな楽しみに変えることができるのではないでしょうか。

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