犬に必要な塩分とは
2019.08.21 (老犬ケア)
「犬にとって人用に味付けされた食材は塩分が多すぎるので良くない」というのは飼い主にとってもはや常識といえるでしょう。
しかし、塩分が全く必要ないかというと、そうではありません。犬にとって塩分はどの程度必要なのか、塩分を与えることの注意もまとめてみました。
■犬に塩分が必要な理由
犬は人間のように汗をかかないため、暑い時期でも積極的に塩分を取る必要はありません。しかし、犬も人と同じ哺乳類で、生命維持のためには塩分が必要です。
犬が野生で暮らしていた時は獲物を捕らえて食べていました。血にも塩分が含まれており、摂取した塩分はおしっこで排出することができます。「犬に塩分は不要」ではなく「犬には人間ほどではなくとも適量の塩分が必要」というのが正しいところだと思います。
塩に含まれるナトリウムやカリウムは犬の体の中で以下にあげられる重要な役割を果たしています。
・血液の浸透圧の調整
・水分バランスの調整
・神経の伝達
・糖分やアミノ酸の吸収
■塩分が不足したときに起きる症状
汗をかかない犬の体内で塩分が不足するというのはどういう時でしょうか。
普通に生活していれば、塩分が不足して血液中のナトリウムイオン濃度が低下することはありません。ただ、大量に水を飲んだ時などに低ナトリウム血症(水中毒)になることがあります。川遊びの最中に水中毒に陥ると、川の中で泳げなくなり溺れてしまうこともあるので、注意が必要です。
[塩分が不足すると現れる症状]
・嘔吐
・ふらついて歩けない
・痙攣
・極度の疲労
・呼吸困難
・腹部がふくらみ、多量の排尿
■犬に必要な塩分量
普段、何げなく与えている市販のフードには塩分が含まれています。
犬用ジャーキーや犬用ビスケット、犬用煮干しなどにも塩分が含まれていて、ドッグフードで補っている塩分におやつの塩分が加算されると、塩分過多になる場合もあります。
犬に必要なナトリウム摂取量は諸説ありますが、概ね体重1kgあたり25~50㎎程度と言われています。ドライフードなどには塩分が含まれているので、あえて塩分を気にする必要はありませんが、手作りフードの場合は塩分が足りているかどうか、確認してみるのも良いでしょう。
また、犬に人気の人用のパンやプロセスチーズ、かまぼこなども塩分が多く含まれているため、トッピングやおやつとして犬に与える食材としては、適しているとはいえません。
■まとめ
人も犬も足りなくても過剰に摂取しても体調に影響が出やすい塩分。
老犬は心臓や腎臓機能に加齢の影響が出やすく、体調不良の原因になりやすいため、愛犬にとって必要な食材を選びたいところです。
また、愛情のこもった手作りご飯は愛犬にとって楽しみのひとつ。自然塩を利用したり、ドッグフードを併用しながら、食欲の増す手作りご飯にチャレンジしていただけたらと思います。
(医療監修:獣医師 先崎直子)
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