成犬になってからでもできる。留守番トレーニング。
2017.03.29 (老犬ケア)
しつけやトレーニングは、幼少期に行うもので、成犬になってからは「もう直らない。一生このままだ。」とあきらめてしまいがちですが、時間をかけて取り組めば、ちゃんとできるようになるワンちゃんもたくさんいます。
今回は、成犬になってから留守番のトレーニングを克服した柴犬のお話です。
10年ほど前、動物保護団体に保護されたこの柴犬、当時の推定年齢は5歳でした。痩せ細り、歯石もたまり、動物病院で治療を受けた様子もなかったそうです。保護団体を通じて、今の飼い主さんの家族の一員になりましたが、「自分は捨てられた」という記憶からか、飼い主の姿が見えなくなると、いつまでも遠吠えをしていたそうです。
それから10年。15歳になった柴犬は、この飼い主もとで元気に暮らしています。今では、遠吠えすることもなく、留守番もちゃんとできます。
この柴犬がどうやって辛い過去を乗り越え、一人で留守番ができるようになったのか。そのトレーニング方法は次のようなものでした。
【まずはお部屋作り】
サークルやケージを用意して、愛犬の落ち着ける場所を確保しました。部屋の中には、座布団や毛布、タオルなどのお気に入りグッズ、おもちゃを置きました。初めは嫌がりましたが、お部屋に入るたびに褒めて、少しずつ時間を延ばしながら、慣れさせていきました。
夜は、飼い主と一緒に寝るのではなく、この部屋の中で眠ります。
愛犬と別々で寝るのは、飼い主も寂しかったのですが、必要以上に可愛がり、甘やかすと、留守番ができるようにならないと思い、ぐっと我慢したとのことです。
【留守番トレーニングの開始】
お部屋に慣れてきたところで、留守番トレーニングの開始です。
はじめは5分程度から、10分、15分、30分と少しずつ留守番の時間を延ばしていきました。飼い主がいなくなっても「必ず帰ってくる」と認識できるようになり、留守番中に鳴き続けることも少なくなりました。
最初の頃は「出かける」という合図を知られないよう、ラジオを付けたままにして、コートやカバンは玄関に置いておき、そっと外出したそうです。
慣れてくると、半日ほどの留守番も、部屋の中で寝て待てるようになりました。
この柴犬がとった行動は、分離不安という精神的不安の症状の一つです。
飼い主への依存が強ければ強いほど、この傾向が見られます。依存と信頼関係は違う、飼い主は自分にそう言い聞かせ、必要以上に甘やかすのではなく、なでながら「お前は良い子だよ」と話しかけ、スキンシップとコミュニケーションを密に取るようにしました。
こうしたことを繰り返すうちに、自然と不安から開放され、表情も穏やかになり、留守番もできるようになったのです。
今回は留守番のトレーニングでしたが、トイレや散歩などのトレーニングも、スキンシップやコミュニケーションを通して、犬との信頼関係を作り、丁寧に教えていけば、成犬になってからでも身についていくのです。
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