老犬と気になる夏の陽射しと日焼け
2024.05.17 (老犬ケア)
夏に向けて気温が上昇し、陽射しがますます強くなっています。
私たちは強い陽射しから肌を守るために日傘をさしたり、日焼け止めを塗ったりしますが、犬に日焼け対策は必要でしょうか?また、強い陽射しが老犬に与える影響はどのようなものがあるのでしょうか?
今回は、老犬の日焼けについて解説します。
■ 老犬と日光の関係
老犬にとって日光にあたることには、どのようなメリットとデメリットがあるのでしょうか?
【メリット】
○ ビタミンDの生成
犬も少量ではありますが、日光にあたることで骨の健康維持に欠かせないビタミンDを作り出すことができます(ビタミンDの必要量の多くは食餌から摂取する必要があります)。
○ ストレスの緩和
外に出て日光浴や外気浴をすることでセロトニンの分泌を促し、ストレスを和らげることができます。また、メラトニンの分泌も増加し、体内時計の調整に役立ちます。
○ 免疫力がアップ
日光浴によって血行が促進されることで免疫力がアップします。また、紫外線による滅菌や殺菌作用が期待できます。
【デメリット】
▼ 熱中症や脱水症状のリスク
老犬は体力が低下しているため、熱中症や脱水症状を起こしやすくなっています。
▼ 被毛や皮膚へのダメージ
強い紫外線は薄くなった老犬の皮膚にダメージを与えることがあります。
鼻や目の周り、口周り、耳、下腹部、お尻周りといった粘膜に近い部位は被毛が薄いため、全身の中で日焼けしやすいとされます。その中でも顔まわりは太陽に直接当たりやすいため、特に注意が必要です。
また、最近の強い陽射しによって被毛自体がダメージを受けることも考えられます。皮膚がんのリスク要因となります。
▼ 眼へのダメージ
人の眼よりも紫外線に弱いと言われていて、白内障、角膜炎などのリスク要因となります。
■ 老犬を日焼けから守るためにできること
老犬は日焼けをすると、皮膚が硬くなったりむけたりして炎症を起こし、人間同様シミやシワの原因となり、皮膚がんのリスクとなる場合もあります。
また、年齢とともに皮膚が弱くなり、被毛が細く、少なくなっていきます。犬も人同様に、紫外線から体を守るケアが必要です。
以下に、老犬を日焼けから守るための方法を挙げます。
・散歩の時間を調整し、日差しの弱い早朝や日暮れ後に行う
・サマーカットをする場合は、被毛の長さを短くしすぎない
・カートで移動する際は日傘や庇で日陰を作る
・犬専用の日焼け止めを使う
日焼け止めはスプレータイプやシートタイプなど、全身の被毛に塗布できるタイプのものがあります。
もし日焼けしてしまった場合は、皮膚のめくれや乾燥に保湿クリームなどでケアする方法もありますが、かかりつけの動物病院で診てもらうことをおすすめします。
■ 最後に
室内で過ごすことが多くなる老犬にとって、窓辺は日差しが暖かく心地良いエリアです。日光を浴びることは、ストレスの緩和や免疫力の向上など、老犬にとってメリットが多くあります。
しかし、窓越しであっても紫外線は体力が低下した老犬にとって負担になることもあります。UVカットフィルムやUVカット機能のあるレースカーテンなどで適切にケアすることで、愛犬を紫外線から守るようにしましょう。
(医療監修:獣医師 先崎直子)
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