老犬の睡眠時間と快適な睡眠
2020.01.15 (老犬ケア)
先日、8歳の愛犬と暮らしている方から、「最近、昼間も寝ていることが多くなり、どこか悪いところがあるのではと心配」とのご相談を受けました。
犬はシニア期に入ると若い頃よりも眠る時間が多くなります。では、老犬はどのくらいの睡眠をとるのがよいのでしょうか?適正な睡眠時間や注意が必要な睡眠などをまとめました。
■犬に適正睡眠時間はあるの?
犬は昼も夜もよく寝ます。成犬の睡眠時間は平均で12~13時間といわれていますが、老犬や子犬はそれ以上の睡眠を必要として、19時間前後といわれています。
もともと夜行性で活動していた犬ですが、昼間は寝て夜活動するという生活習慣だったものが、人と一緒に暮らすようになり、適応能力に優れた犬は人の生活に合わせて夜も眠るようになり、あまり動くことを必要としない昼間も時間があれば寝るという習慣が残っていると言われています。
◾️犬はよく夢をみる
ぐっすり眠っているように見えても、犬の睡眠はほとんどの時間がレム睡眠であること知られています。とても浅い睡眠なので、気配や物音でもすぐに起きて活動をすることができます。
また、寝言や夢を見て手足をバタバタさせている時も、眠りが浅いレム睡眠状態です。体は休めているのに脳は活動しているので、眠りながら情報を整理している状態といえます。脳も休んで熟睡しているノンレム睡眠は長い睡眠時間の中でもわずかです。
◾️犬の寝相で精神状態がわかる
犬はいろんな寝相で眠っています。一番リラックスして眠っているのはどんなときでしょうか。
【うつ伏せ(伏せの状態)】
眠っていても、何かあればすぐに立ち上がれる緊張感のある寝相です。暑くてお腹を冷やしたい時もこの態勢をとります。
【横向き】
犬にとってはリラックスした状態です。手足を伸ばしているときはさらにリラックスした状態です。
【仰向け】
お腹を上に向けた無防備な寝相です。なんの緊張ももたない、リラックスした状態です。
■老犬にとって快適な睡眠
犬にとって、とても大切な睡眠時間。ゆっくり眠れる快適な環境を整えてあげましょう。
【寝床】
快適な寝床は好みがあり、ビーズクッションのようなフワフワした寝床が好きな犬がいれば、毛布のような布製の寝床を何度も引っ掻いて自分好みに仕上げてから眠る犬もいます。サークルの中のような狭い空間のほうがリラックスできるのであれば、安心して眠れるスペースを確保してあげましょう。屋外で飼われている犬も同じように、やわらかで厚手の毛布や隙間風の入らない犬小屋を用意してあげましょう。
犬が使うベッドにはカバーをかけ、毛布やベッドカバ―は洗える素材にしておきましょう。定期的につけ置き洗いをして、清潔を保つことが大切です。
【室温】
室温は24℃前後が快適とされ、夏季や冬季なども考慮して、プラスマイナス1℃程度で考えながら、老犬の犬種や毛質なども考慮して設定しましょう。
■注意が必要な睡眠
寝ているというよりはぐったりしていたり、起きているのに起き上がれない状態の場合は具合が悪いかどうか確認しましょう。
どこかに痛みがある場合は、無理に起こそうとすると怒ったり、痛がって鳴いたりします。また、睡眠が短くあまり眠らなくなったり、ぐっすり寝ていたのに急に起きて、意味もなく吠え出すような場合は認知症が始まったサインかもしれません。獣医師に相談し、きちんとした診断をしてもらいましょう。
心臓疾患、呼吸器疾患を抱えている場合、呼吸が十分にできずに眠りが浅くなることがあります。横になる姿勢で寝れなかったり、ハアハアいう、舌の色が紫っぽい時には、速やかに動物病院で診察を受けてください。
■まとめ
寝てばかりいる老犬をみると、これからどんどん老けてしまうのかと心配になることもありますが、大切な睡眠時間は邪魔をせずゆっくり過ごさせましょう。散歩の時はアクティブに活動させ、メリハリのある生活を心がけることで、心身ともに健康な状態を保つことができるでしょう。
(医療監修:獣医師 先崎直子)
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