老犬の腎不全
2019.07.10 (老犬ケア)
腎臓は体に不必要になった老廃物や毒素を尿と一緒に排泄する役割があり、人の体でとても大切な機能を担っていますが、犬にとっても大切な臓器です。
老犬になると腎臓病の罹患率が高くなり、この腎臓の機能が低下してしまうことがあります。そこで今回は、犬の腎臓病はどういった症状で、どんなことに気をつけたらよいのか、まとめてみました。
■ 腎臓の役割とは
腎臓の役割には5つの働きがあります。
- 血液をろ過して老廃物や塩分、余分な水分、体に不要な有害物質や薬の成分などを尿と一緒に体の外に排出します。
- 血圧を調整し、腎臓で血液のろ過が正常に働くよう一定に保ちます。
- 造血ホルモンを分泌して、骨髄で赤血球を作らせます。
- 肝臓に蓄積したビタミンDを活性化して、カルシウムの吸収を働きかけて高めます。
- 循環する血液の中から体に必要な栄養と水分を再吸収して調整します。
血液の中から体に必要なカリウムやカルシウム、リン、ナトリウムなどのミネラル成分と水分を再吸収して体の中に留め、イオンバランスを保ちます。不要な部分は体の外へと出す働きをします。
血液から栄養分をろ過する働きをするのが「ネフロン」です。
ネフロンが傷つき働きが鈍ると腎臓病の症状が現れます。進行するまで気がつかないことも多く、症状がでるころは、ネフロンの働きが正常時の半分くらいまで低下していることがあります。
■どのような症状が現れるのか
腎臓は一度壊れてしまうと、機能が元に戻ることはありません。気づいた時には半分程度まで機能が低下していることもあるため、残ったネフロンが数倍の働きをしなくてはならず、さまざまな症状が現れます。進行性があり、ある程度のダメージを超えると急速に症状が悪化することもあります。
老犬の場合は腎臓のろ過する機能が低下することが多くみられ、体の中の毒素が多くなり、症状に気づいた時には尿毒症にかかっていることがあります。
具体的には以下のような症状に注意しましょう。
・たくさん水を飲む
・オシッコの量が増えた
・食欲不振
・体重の減少
・嘔吐
・脱水
■腎臓の機能低下は血液検査で発見
腎臓病は血液検査の数値に顕著に出るため、シニア期になったら少なくとも半年に1回は血液検査を実施して、内臓機能に変化がないか、診てもらうことが大切です。
脱水症状のチェックは、背中の皮膚を軽くつまんで、元に戻るのに時間がかかるようであれば、脱水が進んでいることになります。普段からお水を飲む量やオシッコの量をチェックして、異常を感じたら早めの受診をお勧めします。また、いつでも新鮮なお水が飲めるよう心がけておきますが、お水を飲みすぎているようであれば、それは要注意です。
■まとめ
腎臓は一度壊れると元には戻らず、一生涯の治療が必要になります。早期発見でステージが低ければ、食事療法や薬などの内科的治療で進行を遅らせることができます。回復させることができない病気なので、進行にいち早く気づき、健やかに過ごせるよう予防を心がけましょう。
(医療監修:獣医師 先崎直子)
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